2025秋ドラマ最終回寸評

2025秋ドラマ最終回寸評

 スーパードラマウォッチャーのナンシーです。地上波のテレビドラマを毎日ウォッチしています。

 先週、秋ドラマの全てが最終回を迎えました。ナンシーが今期全話見たドラマの中で最終回を5段階評価し、その後に2025年秋ドラマ・ベスト3を発表したいと思います。

【12/9火曜日】

(TBS系22:00)『じゃあ、あんたが作ってみろよ』第10話(最終話)「不器用な愛で、変われ!」

脚本: 安藤 奎 他

評価: ★★

 今期のダークホースにして、終わってみれば話題のトップを独占してしまった傑作。竹内涼真演じる勝男がとにかく良かった。ただし、本当に輝いていたのは前半であり、後半でミナトがほぼ退場し、勝男と夏帆演じる鮎美の家族の話にフォーカスされてからはパワー不足。最終話も失速。第9話で勝男がシゴデキ部下におにぎり差し入れてパワハラで出社停止になるのは笑ったけれど、最終話で協力プレイになるのは何の茶番か。それとも、これも『逃げ恥』以来の「火10」枠という相互理解と包摂しか許されない場のせいなのか。上司が勝男を飲みに連れ出して、「いい顔になったな」と声をかけたところだけは良かった。ごはん食べながら別れ話するの、映画『花束みたいな恋をした』で見たからもういいよ。

【12/17水曜日】

(フジ系22:00)『もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう』第11話(最終話)「思い出の八分坂」

脚本: 三谷幸喜

評価: ★

 三谷が『合い言葉は勇気』以来25年ぶりに書いた連ドラということで、同作大好きなナンシーはウキウキウォッチングしたけれど、最終話までまさかの一度もノレずに終了。小池栄子演じるいざなぎダンカンは作品上何のために戻されたのか等、豪華キャストによる群像劇なのに人物をさばききれていなかった。菅田将暉演じる久部=マクベスが、乙子という母(=「男」)から生まれた蓬莱(神木隆之介)とダンカンに追い出される、という流れが『マクベス』をなぞっているつもりか?さすがに浅すぎない? しかし、おそらく日本ドラマ史上有数の嫌な主役を演じきった菅田将暉の演技力は評価したい(特に第8話トロ(生田斗真)との対決)。ラストは久部が死ぬ前に見る幸せな夢だった、に一票。

【12/14日曜日】

(NHK20:00)『べらぼう』第48話(最終話)「蔦重栄華乃夢噺」

脚本: 森下佳子

評価: ★★★★☆

 横浜流星演じる𠮷原生まれの蔦屋重三郎が江戸の出版業を席巻していくさまを描いた大河の最終回。𠮷原細見を売っていた前半生と日本橋で黄表紙を出しまくった後半生に連続性が感じられなかったのは作品としてマイナスだが、最終回としては北斎や馬琴の今後を予見するセリフも織り交ぜ本居宣長すら関西弁で登場するサービスぶりで、過去と未来が交錯し大満足。何より、虚構に希望を託す江戸文人の生き死にが「屁」でしかないこと、しかし「屁」だからこそ尊いのだということを視聴者の胸に焼き付けた。死ぬ間際の蔦重を励ます、オールキャストによる屁踊りのエネルギーと、蔦重死後に宿屋飯盛が一人で悼む屁踊りの哀愁。蔦重が意識を取り戻して一言、「拍子木、鳴らねえんだけど」→一同「へ?」→本当に鳴る拍子木→高らかに鳴り響くメインテーマ、の流れに大河ドラマの粋を感じた。

(TBS21:00)『ザ・ロイヤルファミリー』第10話(最終話)「ファンファーレ」

脚本: 喜安浩平

評価: ★★☆

 ナンシーは妻夫木ファンのため、妻夫木演じる秘書・栗須が良く、しかも安藤政信演じる調教師・広中と映画『69』コンビで映っていたから、基本的には満足。最終話、佐藤浩市演じる山王が死の床で受け取っていた封筒の中身、答えはそれで良かったの?とは思ったものの、近年の日曜劇場が担っている「権力モノ」としてはああいうことも必要なのだろうと消化できた。馬の話であり、競馬をめぐるロマンがJRA全面協力で描かれてはいるものの、スローと合成を多用した映像は瞬間のドラマである競馬の魅力を再現できているとは言い難かった。最終話の舞台となる有馬記念なんて、作劇上ジャパンカップすらここへの踏み台だ的な盛り上げ方だったのに、観客の興奮は現実の100分の1も伝わって来ない(そうですよね、レガレイラやメイショウタバルに夢を見た同志の皆様?)。競馬ファン代表で尾美としのりをもう一度出すべきだったが、『べらぼう』喜三二役に忙しく出演ならなかったか。

【12/20土曜日】

(日テレ系21:00)『良いこと悪いこと』第10話(最終話)「はじまり」

脚本: ガクカワサキ

評価: ★

 今期一番盛り上がったドラマだったのに、最終話で大失速。まさか、第9話で真犯人らしき人物が独白し、予告でさんざん「真犯人、だーれだ?」と煽っておきながら、結局そいつが主犯だったとは! 共犯が2人判明?どうでもいいです。どんでん返しが伏線なしのサプライズとしてしか機能しておらず、例えば第1話あたりで間宮祥太朗演じる高木が娘を大後寿々花のピアノ教室に連れてくる場面だけでも描けていればと悔やまれる。第9話からの展開はネット上の考察を上回れておらず、テレビの敗北を印象付けた。ナンシーは「博士」と「森」実は別人説&ターボー真犯人説で挑んだが完全に不発。主要人物誰にも、元いじめっ子にも元いじめられっ子にも感情移入できず、木村昴の魂の好演だけが光る。

【12/22月曜日】

(テレビ東京系23:06)『シナントロープ』第12話(最終話)「あの人は…とんでもないです」

脚本: 此元和津也

評価: ★★★★

 ハンバーガーショップ「シナントロープ」が舞台の群像ミステリーが、伏線を見事に回収して着地。前半は若手俳優のアンサンブルが見所だったが、第10話以降は染谷将太演じる折田の異常な存在感が画面を圧倒した。一口に伏線回収といっても、「俺が死んだら泣く?」という殺し屋二人の何気ない会話が皮肉な意味を持ってしまうというパターンから、画面の隅に目を凝らし役者の表情の変化を追っていれば気づけたかもしれない推理小説的なものまで、芸の幅が広かった。「1年後」のキャプションが出た後の、意外な探偵役による謎解きは圧巻。ないものねだりを言えば、最終話なのでシナントロープ従業員の連携プレイによる救出作戦が見たかった。この複雑な物語を愛すべきものにした、水上恒司と山田杏奈、主演俳優二人の魅力に拍手。あんたらすごいで、はっきり言うて

【見ようとしたが全話追えなかったもの】

『絶対零度 season5』『ちょっとだけエスパー』『ぼくたちん家』 ・・・すみません。『絶対零度』:沢口靖子がさすがに榊マリコすぎた。上戸彩はどこですか? 『ちょっとだけエスパー』:自分と野木亜紀子脚本作品が『逃げ恥』以来の合わなさで脱落、最終話は気になって見たがあの作戦じゃ目立ちすぎてアカンやろ。『ぼくたちん家』:区役所の対応に感動したのと、ミッチーの歌が良かった。

【1話も見なかったが評判が良さそうだったもの】

『ESCAPE それは誘拐のはずだった』『小さい頃は、神様がいて』『コーチ』 いずれ機会があれば見たい。

最終回のベストは『べらぼう』に決定! そして、作品全体を通した2025年秋ドラマベスト3は?

第3位:『じゃあ、あんたが作ってみろよ』 映画『(500)日のサマー』的に、AmazonやNetflixの配信番組のイメージで鮎美が自分の恋愛を考えているのが映像化されていて良かった。対する勝男の自己イメージは、東京タワーをバックに男女が抱き合って終わる『フォーエバーラブは東京で』という対比(笑) 令和vs平成・昭和、という戦いは、社会的にも重要テーマになりそうである。

第2位:『べらぼう』  初回が𠮷原の話でこれは1年間苦しいぞと思ったものの、幕府のお家騒動を絡めた脚本のスケールが大きく後半は見入ってしまった。しかし、この結末なら平賀源内は田沼意次役の渡辺謙が演じるべきで、今の安田顕ではまだ重みが足りなかったと思う。あと義兄役の中村蒼の扱いが軽すぎ、『青天を衝け』の高良健吾と双璧である。

第1位:『シナントロープ』 同じセリフが異なる場面とリンクしていく(ラーメンズ的な?)演出がお洒落だったが、ただのお洒落にはとどまらない。主要キャストを演じた俳優陣は全員今後要注目。もう一回最初から見たいで、はっきり言うて。

 もうすぐ年越し、ということは冬ドラマの季節。2026年も楽しみです。ナンシーでした。

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