概要
『東京ブギウギ』は、1947年に発表された鈴木勝作詞、服部良一作曲によるポピュラー音楽。笠置シヅ子の歌唱によりヒットし、多くの歌手がカバーをした。
音楽は他にきゃりーぱみゅぱみゅ『きゃりーANAN』、米津玄師『地球儀』、米津玄師『Lemon』、RADWIMPS 『魔法鏡』、『アイドルソングのアイロニー キャンディーズ・森高・AKB48』などがある。
歌詞解説・考察
ブギウギ(boogie-woogie)とは何か
まずは曲名にある「ブギウギ」の意味からみていこう。
ブギウギはローマ字で表記するとboogie-woogieである。boogieは西アフリカの黒人英語の「踊る」を意味する「ボギ(bogi)」から派生したもの、woogieはブギを強調するための反復語でそれ自体に意味はない(サイト「世界の民謡・童謡」を参照しました)。ブギだけだと面白くないが、ブギウギとなるとリズムが生まれるので、「ウギ」の効果は絶大と言える。
そもそもブギウギはすでにダンスジャンルの一つになっている。国際ダンスコンテスも開催されているらしいので、世界で人気のあるダンスということになる(上記サイト参照)。
以上をふまえると曲名の「東京ブギウギ」は、「東京ダンス」あるいは「東京踊り」という意味になるだろう。だがあえて後者の曲名にせず、一見すると意味が取りずらい「東京ブギウギ」を曲名としたことには、大きな意味があるように思われる。
この曲が発表された1947年、日本はアメリカの占領下にあった。終戦直後の1945年9月2日の降伏文書調印に始まり、1952年4月28日のサンフランシスコ平和条約発効に至る約7年間、日本はアメリカによって占領されていたのだ。そのような環境であるからこそ、「東京踊り」ではなく「東京ブギウギ」という曲名になったのだろう。
敗戦から復興、そして成長へ
「東京ブギウギ」はアメリカの占領下において復興を遂げようとする日本の心情を写しながら、かつ、日本人を鼓舞するという循環のなかにある。経済の成長が日本人に元気を与え、やる気が満ちるから経済が発展する。昨日より今日、今日より明日、明日は今日よりもずっと良くなる、という期待感があった高度経済成長を支える土壌がこのときすでに生まれようとしていた(あの時代の空気感は『クレヨンしんちゃん 嵐を呼ぶ モーレツ! オトナ帝国の逆襲』で描かれている)。おかげさまで底抜けに明るいこの曲は大ヒットを記録し、美空ひばりなど多くの歌手によりカバーされ、戦後復興期を代表する一曲となったのである。
東京ブギウギ リズムウキウキ ココロズキズキ ワクワク
ブギウギの四文字のリズムに合わせて連なるウキウキズキズキワクワクに続くのは、「海を渡り響くは 東京ブギウギ」という一節。ここで視野が一気に広がるのがわかるだろう。この曲は日本国内の復興という閉ざされたテーマに留まらない。ブギウギは「海を渡」るのである。
東京はこのとき二重の立場に置かれ始めていた。一つは地方に対する都会としての東京、もう一つは敗戦国である日本の首都としての東京。このとき東京は日本を世界に接続するという重要な役割をになっている。つまり「東京」という日本を代表する固有名と「ブギウギ」という世界へと繋がる固有名を合わせた「東京ブギウギ」には、国内と世界の両方を視野にいれた曲なのだ。
世紀のうた 心のうた 東京ブギウギ ヘイー
それどころかこの曲は「世紀のうた」でもある。復興を応援するだけでも、日本人を元気にさせようとするだけでもない、明るい曲調の裏にはこれから目指すべき姿がある。
ブギを踊れば 世界は一つ 同じリズムとメロディよ
戦勝国に追いつき追い越せば復興なのだろうか。先進国の仲間入りをしたら成功なのだろうか。そうではない。「東京ブギウギ」は復興に欠かせない大事な理念を謳っているのだ。
