ヘーゲルの哲学を学ぶためにおすすめの本
ヘーゲル哲学を学ぶといってもいろいろな段階があるので、入門編から探究編まで人気おすすめ著作を紹介することにした。
ヘーゲル哲学を楽しみながら知りたいという人は入門編、ヘーゲル哲学を深く知りたいという人は上級編の著作から読むべしだ。自分のレベルに合わせて読んでみることをお勧めする。
また他に、カント、フィヒテ、シェリング、ショーペンハウアー、キルケゴール、マルクスのおすすめ入門書・解説本・著作を紹介している。
世界のおすすめ必読哲学書は「本格的な人向けおすすめ世界の哲学書」で紹介している。
ぜひそちらもご覧ください。
入門編
川瀬和也『ヘーゲル(再)入門』(2024年)
ヘーゲルの専門家によるヘーゲルの入門書。「入門」と銘打つヘーゲル関連本はこれまでなかったがようやく出てきたかという感じである。
本書では、ヘーゲルの主著『精神現象学』と『大論理学』を丁寧に読み解き、従来の「近代哲学の完成者」や「正反合の弁証法」といったステレオタイプなイメージの刷新を試みる。
内容の新しさにも目を配りながらわかりやすさも重視しており、くっそ難しいヘーゲル哲学を理解する「とっかかり」として本書は書かれている。
「とっかかり」ではあるものの、内容は濃い。新書ではあるが、320ページというなかなかの大著。ハードな入門書ではあるので、しっかりとヘーゲル哲学を学びたいという人におすすめだ。
斉藤幸平『ヘーゲル『精神現象学』』(100分de名著)
新進気鋭のマルクス研究者であり、世界の第一線で活躍している斉藤幸平氏による『精神現象学』入門。
NHKのテレビ番組「100分de名著」をもとにしているので、素人にも分かりやすいように解説がなされている。ヘーゲルの思想を初心者が学ぶのにうってつけの著作となる。
澤田章『人と思想17 ヘーゲル』
「人と思想」シリーズのヘーゲル編。本書ではヘーゲルの生涯と思想を分けて解説するのではなく、彼の生涯を追いながら、そのつどヘーゲルの思想を概観していくというスタイルをとっている。
ヘーゲルほど歴史(フランス革命)に影響を受けた人物もいないので、彼の生涯をあますところなく理解できる本書はなかなか面白い。
大河内泰樹『国家はなぜ存在するのか:ヘーゲル「法哲学」入門』(2024年)
ヘーゲルの『法の哲学』を「ポリツァイ」「コルポラツィオン」などの概念を通じて解説し、個人の自由と国家の関係や現代的意義を探る入門書。
コロナ禍やパンデミックといった現代的問題(ex. ワクチン接種や公権力の強制力)からアプローチし、身近な視点で解説するなど、現代的な視点を盛り込んで『法哲学』を解釈するので、その点はわかりやすい。
ヘーゲルの国家論なので、弁証法などヘーゲル哲学の核となる部分を解説しているわけではないが、逆に国家論を学びたいならこの一冊しかないだろう。
高山守『ヘーゲルを読む 自由に生きるために』
ドイツ哲学が専門の研究者によるヘーゲルの入門書。
ヘーゲルの略歴を紹介したあと、主著である『精神現象学』だけでなく『論理学』や『歴史哲学』にも解説が及ぶ。ヘーゲルの思想を「自由の哲学」として読み解くことで、私たちにも接近可能な形でヘーゲル思想を明らかにしてくれる良書である。
西研『ヘーゲル 自由と普遍性の哲学』
西研によるヘーゲルの入門書。しかも文庫である。
ヘーゲルの根本概念である「自由」や「国家」などを解説しながらヘーゲルを問い直す。なお西研は『超解読!はじめてのヘーゲル『精神現象学』』も執筆している。
上級編
竹田青嗣+西研『超解読!はじめてのヘーゲル『精神現象学』』
「超解読」シリーズのヘーゲル『精神現象学』編。難解なこの著作を哲学者でありながら入門書も多数執筆している竹田青嗣と西研が解説してくれる。『精神現象学』の問いは「自由のゆくえ」に収斂するという。その自由に至るまでの『精神現象学』の展開を順番に解説してくれる書物となっている。
このシリーズには他に、ヘーゲル『法の哲学』やフッサール『イデーン』『現象学の理念』、カント『純粋理性批判』があるので、それを参考にすると良いかもしれない。
権左武志『ヘーゲルとその時代』
新書でありヘーゲルの入門書でもあるのだが、題名にもあるとおり、ヘーゲルが生きた時代が彼の思想にどのような影響を与えたのかを解説するのが大枠となっている。
ヘーゲルへの影響史という観点からヘーゲルの『精神現象学』や『法哲学』などを理解できる入門書である。
探究編
仲正 昌樹『ヘーゲルを超えるヘーゲル』
アーレントやハイデガーなどドイツ哲学の入門書を多く手掛けている仲正氏による「現代思想におけるヘーゲル」の解説書。それゆえヘーゲルの思想をある程度知っていることが必要である。
ヘーゲルが現代思想にどのような影響を与えているのかを知りながら、現代思想も俯瞰しようというまさに探究的な一冊である。
著作
ここでは著作の翻訳の最新状況や執筆背景について紹介したい。良さそうなのを選んで読んでみるのをお勧めする。
熊野純彦訳『精神現象学』(2018年)
1800年代初頭にシェリングの哲学への疑問を深め、独自の弁証法的アプローチを模索していたヘーゲル。
不安定な非常勤講師という職業や経済的困窮、ナポレオンのイエナ進軍などさまざまなことを経験しながら、ついに1807年に『精神現象学』を刊行。
本書では、弁証法を経て、絶対知へと至る過程を描く。極めて難解な書物であり、哲学史上でも最も難解な哲学書の部類に入るとされる。
これまで、ヘーゲル研究者の長谷川宏訳(作品社、1998年)などが存在したが、熊野訳は新訳でしかも文庫本である。圧倒的な読みやすさで読者にやさしい翻訳となっている。










