カント哲学のおすすめ入門書・解説書を8冊紹介。難易度別に解説|カントを読もう

カント哲学のおすすめ入門書・解説書を8冊紹介。難易度別に解説|カントを読もう

カント哲学を学ぶためにおすすめの本

 イマヌエル・カントを学ぶといってもいろいろな段階があるので、超入門編から専門編(大学生・大学院生)まで難易度別に人気著作を紹介することにした。

 カント哲学を楽しみながら知りたいという人は超入門編、カント哲学を深く知りたいという人は入門編の著作から読むべしだ。自分のレベルに合わせて読んでみることをお勧めする。

 また、アリストテレス哲学の入門書は「アリストテレス哲学のおすすめ入門書・解説書」、デカルトの入門書は「デカルト哲学のおすすめの入門書・解説書」、ルソーの入門書は「ルソーのおすすめ入門書・解説書」、ヘーゲルの入門書は「ヘーゲル哲学のおすすめ入門書・解説書」、ショーペンハウアーの入門書は「ショーペンハウアーのおすすめ入門書・解説書」、倫理学の入門書は「倫理学のおすすめ入門書・解説書」で紹介している。ぜひこちらもご覧ください。

超入門編

まんが『純粋理性批判』

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 どんな入門書でも結局文字が多くて難しかったということがある。この本はそんなことはない。なぜならまんがだからだ。

 本書はカントの主著『純粋理性批判』をまんが化したものである。カントには三批判書と呼ばれるものがあり、それぞれ『純粋理性批判』『実践理性批判』『判断力批判』となるのだが、その中でも特に『純粋理性批判』が重要でこれを理解しないとカント哲学に入門することすらできない。

 その最重要著作をまんが化してくれたのだからすごいことである。しかも、難解なことでも有名なこの書を、アンドロイドと人間の恋を通して学べるという風に物語仕立てにしたのだ。

 目次を見ても第一章で感性・悟性、第二章でコペルニクス的転回、第三章で理性としっかりと『純粋理性批判』の順番通りにまんがも進んでいく。ざっくりとカント哲学の内容を捉えるにはおすすめの良書である。

入門編

竹田青嗣『超解読!はじめてのカント『純粋理性批判』』

 哲学者竹田青嗣による超解読!シリーズのカント編。扱うのはカントの主著『純粋理性批判』である。

 超解読シリーズの良いところは、解読される著作の順番通りに解説がなされることである。本書の『純粋理性批判』だったら、まず最初に超越論的(先験的)原理論で感性論と論理学が扱われ、次に超越論的(先験的)方法論が扱われる。要するに『純粋理性批判』の順番通りだ。

 竹田青嗣の解説書はどれもわかりやすいことで有名でハズレがない。ただそれだけ自分の哲学に惹きつけて考えたりするので独特といえば独特というのが特徴である。

御子柴善之『シリーズ世界の思想 カント 純粋理性批判』

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 カントの専門家(日本カント協会会長)による『純粋理性批判』の入門書。これさえあれば『純粋理性批判』の難解さも乗り越えることができる。抜粋しながら一文一文丁寧に読みていくので、初学者でもカントの主著を自分で読めるようになる。

 最終的には自力で『純粋理性批判』を読んでみたいという気骨のある人におすすめの入門書。

中島義道『カントの読み方』

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 カントを語る上で、日本だったら中島義道を無視することはできない。中島義道は日本の哲学者でありカント研究の第一人者。軽快なエッセイなどでも知られ著作も非常に多く面白い。

 本書は誰よりも深くカントに接してきた中島義道氏によるカント入門書。というよりもカント『純粋理性批判』の難しい文章をどのように理解していったらいいのかを指南している導き書である。だから『純粋理性批判』をわかりやすく解説してほしいという人よりも、これから『純粋理性批判』を読んでいくぜという意気込みのある人におすすめである。

石川文康『カント入門」

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 カント研究者の石川文康による入門書。石川氏には『純粋理性批判』の翻訳もあり信頼できる研究者である。

 内容はというと、カント哲学の核心はアンチノミーの発見だったというテーゼから始まるのが本書の特徴である。そこから『純粋理性批判』の解説となり、内容をわかりやすく噛み砕いて伝えてくれる。

 どちらかというとちょっと『純粋理性批判』を読んで、なんでこんなこと考えたんだろう、と疑問に思った人におすすめの著作か。この著作を読むとその疑問が解決されスッキリするかもしれない。

発展編

御子柴善之『自分で考える勇気 カント哲学入門』

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 カント研究者によるカント哲学の入門書。岩波ジュニア新書で簡単そうにみえるが、それなりに凝った著作なので上級者編に入れた。ちなみに著者の御子柴氏は『純粋理性批判』の訳者でもある。

 第一章でカントの生涯が、第二章で『純粋理性批判』が、第三章で『実践理性批判』が、第四章で『判断力批判』が、第五章で『永遠平和のために』が扱われ、網羅的ではあるが『永遠平和のために』を解説するあたりに本書の特徴がある。ここはジュニア新書であることを意識したか、あるいはカント倫理学に重きを置いたかのいずれかだろう。

 「自由」や「善」はカント倫理学を理解する上では欠かせない概念だ。カントの倫理学方面に興味がある人はこの著作で理解を深めていくのがいいのではないかと思う。

坂部恵『カント』

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 坂部恵といえば独自の「ペルソナ論」で有名な日本の哲学者。それだけでなくカント哲学にも精通しており、カント全集の『実践理性批判』を訳したりしている。

 本書の特徴は三批判書だけでなく最初期から最晩年までの著作『オプス・ポストムム』を扱っているところ。入門書でありながらカントの人間学、道徳哲学、自然哲学、宗教哲学などその全体像を掴める。とてつもない良書であり、読んでおいて損はないだろう。

探究編

中島義道『カントの時間論』

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 題名通りカントの時間論に関する著作。カントは『純粋理性批判』で直観の形式としての時間という時間論を展開するが、その時間論を研究した研究書である。良質な時間論に頭を悩ましたい人におすすめである。

著作(代表作)

 ここからは著作を紹介していきたい。興味のあるものから手に取って読んでみることをお勧めする。

 カントと言えば世界中でおそらく最も重要な哲学者の一人であろう。全集もあり文庫化されているのも結構あるので読むのに困らないが、なかには翻訳が古くさいのもある。とりあえず迷ったら新しい訳のものを買うのをおすすめする。今回は、文庫化されているものの中で重要な著作を、翻訳の最新のものから紹介していくことにしよう。

純粋理性批判

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 批判書の一冊目。古典中の古典であり最重要著作。人間の認識能力の限界がどこにあるのか、認識の可能な範囲を問い直す。1781年に第一版が、1787年には大幅に手を加えられた第二版が出版された。

実践理性批判

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 批判書の二冊目。1788年に出版された。真善美のうちの善の問題、すなわち実践理性の限界を追究する。燦然と輝く倫理学の古典。

判断力批判

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 批判書の三冊目。1790年に刊行。真善美のうちの美の問題、すなわち判断力の統制的使用の限界について検討する。

永遠平和のために

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 1795年の著作。副題は「哲学的考察(Ein philosophischer Entwurf)」。1795年のバーゼルの和約が永遠の平和樹立のためには不完全なものであると考えたカントが、永遠平和のための具体的な実現可能性の計画を記したもので、国際連盟の樹立などに影響を与えた。

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