デカルトがわかる!最新おすすめ入門書・解説本・著作を紹介

デカルトがわかる!最新おすすめ入門書・解説本・著作を紹介

ルネ・デカルトを学ぶためにおすすめの本

デカルト哲学を学ぶといってもいろいろな段階があるので、超入門編から探究編まで難易度別に厳選して人気おすすめ著作を紹介することにした。

デカルト哲学を楽しみながら知りたいという人は超入門編、デカルト哲学を深く知りたいという人は入門編の著作から読むべしだ。自分のレベルに合わせて読んでみることをお勧めする。

他に、モンテーニュスピノザライプニッツヒュームパスカルカントのおすすめ入門書・解説本・著作を紹介している。

また「哲学・初心者素人向け人気おすすめ入門書」「本格的な人向けおすすめ世界の哲学書」も紹介している。

ぜひそちらもご覧ください。

超入門編

『我思う、ゆえに我あり〜デカルトの「方法序説」より〜』

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文字を読むのはちょっと・・・という人にうってつけなのがこの著作、なんとデカルトの主著の一つ『方法序説』のまんがバージョンである。

塀凡哲夫というごくごく平凡な人物がデカルトに会うところから話は始まる。順番通り『方法序説』の冒頭有名な「良識」に関する文句から物語形式で話が進んでいく。

ざっくりとデカルト思想の核心である「我思う、ゆえに我あり」を知りたい方はこのまんがから入ってみるのが良さそうである。

入門編

小林道夫『デカルト入門』

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デカルト研究者による入門書。ちくま新書からはいくつか『・・・入門』が出版されているのがそのうちの一つである。デカルトの生涯から始まり、彼の思想を認識論や形而上学、自然学、人間論などに分けて解説する。

デカルト研究の著作をいくつも出版し、さらに『哲学の歴史第5巻 デカルト革命』(中央公論新社)の責任編集でもある小林の入門書で、その膨大な知識は推してしるべしである。

さらにデカルトの思想の全体をカバーしているのも本書の魅力で、この一冊でデカルト哲学の概観は大丈夫といった完成度の高い新書となっている。

伊藤勝彦『デカルト 人と思想新装版』

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『人と思想』シリーズのデカルト編。著者はデカルトやパスカルの哲学を研究しながら三島由紀夫の文芸評論なども執筆した伊藤勝彦氏。

「人と思想」というタイトル通り、デカルトの生い立ちと思想が解説される。扱われる著作は『方法序説』『省察』の二大主著だけでなく、『規則論』『哲学原理』『情念論』もある。

幅広くデカルトの思想に触れたい人におすすめである。

冨田恭彦『デカルト入門講義』

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ちくま学芸文庫「入門講義シリーズ」のデカルト版。科学哲学の専門家がデカルト思想を噛み砕く。

入門書ではあるが、デカルトの生涯をめぐったあと主として取り扱われる書物は『方法序説』ではなく『省察』である。それだけ難易度は高いが、デカルトの形而上学的な議論をしっかりとカバーしていて洗練された内容となっている。

さらに最後の章にはデカルト哲学(主観主義の哲学)の影響と射程を語るなど歴史的な視点を兼ねた章もある。

少し難しいかもしれないが、非常に濃密な味わい深い入門書といえるだろう。

上級編

ドゥニ・カンブシュネル『デカルトはそんなこと言ってない』

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海外のデカルト研究者の入門書であるが、題名からもわかるように一風変わった入門書である。

本書では、デカルト思想の論点を21個取り上げ、デカルトの受容史のなかでそれらがいかに単純化され誤解されてきたかを追いながら、彼の真の思想に接近していくというスタイルをとる。

確かに本書を読めばデカルトの鋭敏な思想に触れることができるだろう。例えば取り上げる論点の六番目は「我思う、故に我あり」であり、彼の思想の核心も説明してくれる。

ただ、そもそもデカルトが大体どのようなことを言っていたか、デカルトの思想が一般にどのように受容されてきたかを知らないと面白さが半減してしまう。

というわけで、本書はすでにデカルトの思想をいくばくか知っている人におすすめの著作となる。

谷川多佳子『デカルト『方法序説』を読む』

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著名なデカルト研究者で、岩波文庫版の『方法序説』の翻訳者としても知られている谷川氏のデカルト『方法序説』の解説書兼入門書である。

デカルトの主著の一つである『方法序説』を中心にその『方法序説』が執筆された時代状況や背景などがデカルトの生涯と共に語られている。

「『方法序説』を読む」でありながらも、デカルト思想の大枠も知れるということでなかなか良い。また『方法序説』の翻訳者でもあるので信頼度も高い。

探究編

村上勝三『デカルト形而上学の成立』

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デカルトの哲学的主著『省察』を中心に読み込み、その思想をスコラ哲学とつなげ、観念として描き出す。デカルト研究者による専門的なデカルト研究書。

デカルトはそれまでの中世哲学を乗り越えたとする見方が普通だったが、彼の概念にはスコラ哲学由来の概念が多く思想も連続的であるという考え方はそれなりに知れ渡っている。そこを深く掘り下げたのが本書である。

細部まで突き詰めて知りたい人はこの本に挑戦してみるのもありだろう。

著作

デカルトには哲学だけでなく数学や自然学、音楽に関する著作もあるのだが、「世間という大きな書物」に飛び込むという遍歴生活を経て『方法序説』が出版されたのが1637年である。

その後41年に『省察』を、44年には『哲学原理』を発表するなど旺盛な執筆活動を続けていく。

デカルトは、全集もあるし文庫化されているのも結構ある。読むのに困らないが、なかには翻訳が古くさいのもある。とりあえず迷ったら新しい訳のものを買うのをおすすめする。

ここでは、翻訳の最新状況や著作の執筆背景を紹介しよう。

小泉義之訳『方法序説』(2022年)

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デカルトはイエズス会のラ・フレーシュ学院で学び、伝統的なスコラ学やアリストテレスの哲学に触れていたが、当時の学問の曖昧さや権威への盲従に不満を抱き、確実な知識を求めるようになる。

それを獲得するため、書斎の中での書物を捨て「世間という大きな書物」に飛び込んだデカルトは各地を遍歴するようになる。

1619年の「驚くべき学問の基礎」を発見や、その後のパリでの知識人との交流を通じて、自身の哲学的・科学的体系を構築していったデカルトは、正しい知識獲得のための新しい方法論を獲得する。

そして「理性を正しく導き、学問において真理を探究するための方法の話」として、1637年に出版されたのが本書『方法序説』である。

刊行当時の正式名称は『理性を正しく導き、学問において真理を探究するための方法の話。加えて、その試みである屈折光学、気象学、幾何学。』である。

そのうちの最初の78ページある「序文」部分が『方法序説』として扱われている。

翻訳は他に、岩波文庫版(谷川多佳子訳、1997年)やちくま学芸文庫版(山田弘明訳、2010年)がある。

山田弘明訳『省察』(2006年)

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『方法序説』はフランス語で一般向けに書かれたもので、より簡潔に平易に方法論を語ることを目指していた。

デカルトはその議論をさらに深化させ、より学術的で、哲学者や神学者に向け体系的な議論を展開しようとした。その成果が1641年公刊の本書『省察』である。

第一省察から第六省察まであり、方法的懐疑を通じて、自己(我思う、ゆえに我あり)に到達し、そこを出発点として、存在、神、物質世界の確実性を論証する。

文庫の翻訳はこれのみ。内容に関しては記事「『省察』入門」で詳しく解説している。

山田・吉田・久保田・岩佐訳『哲学原理』(2009年)

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1644年の著作。

翻訳は他に、岩波文庫版(桂寿一訳、1964年)がある。

谷川多佳子訳『情念論』(2008年)

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1643年頃から、ファルツ選帝侯(ドイツ)の皇女エリザベート姫との書簡のやり取りが始まる。

この交流で、エリザベートはデカルトの心身二元論における心と身体の相互作用や、情念が倫理的判断に与える影響について鋭い質問を投げかけ、デカルトを大いに悩ました。

彼女の質問に応える形で、デカルトは情念の理論を体系化することを目指し、1649年に『情念論』として出版することになる。

題名通り、それまでの著作とはうってかわって情念について語られる。情念の定義、分類(6つの基本情念:驚き、愛、憎しみ、欲望、喜び、悲しみ)、およびその制御方法などが論じられている。

一応、中公文庫にも野田又夫訳の「情念論」がある(だだこれも元となっているのは『世界の名著』だろう)が、本書がおすすめ。

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