ヘーゲル哲学を学ぶためにおすすめの本
ヘーゲル哲学を学ぶといってもいろいろな段階があるので、入門編から探究編まで難易度別に人気おすすめ著作を紹介することにした。
ヘーゲル哲学を楽しみながら知りたいという人は入門編、ヘーゲル哲学を深く知りたいという人は上級編の著作から読むべしだ。自分のレベルに合わせて読んでみることをお勧めする。
また、カントの入門書は「カントのおすすめ入門書・解説書」、ショーペンハウアーの入門書は「ショーペンハウアーのおすすめ入門書・解説書」、キルケゴールの入門書は「キルケゴールのおすすめ入門書・解説書」、マルクスの入門書は「マルクスのおすすめ入門書・解説書」、世界のおすすめ哲学書は「本格的な人向けおすすめ世界の哲学書」で紹介している。ぜひこちらもご覧ください。
入門編
斉藤幸平『ヘーゲル『精神現象学』』(100分de名著)
新進気鋭のマルクス研究者であり、世界の第一線で活躍している斉藤幸平氏による『精神現象学』入門。
NHKのテレビ番組「100分de名著」をもとにしているので、素人にも分かりやすいように解説がなされている。ヘーゲルの思想を初心者が学ぶのにうってつけの著作となる。
澤田章『人と思想17 ヘーゲル』
「人と思想」シリーズのヘーゲル編。本書ではヘーゲルの生涯と思想を分けて解説するのではなく、彼の生涯を追いながら、そのつどヘーゲルの思想を概観していくというスタイルをとっている。ヘーゲルほど歴史(フランス革命)に影響を受けた人物もいないので、彼の生涯をあますところなく理解できる本書はなかなか面白い。
高山守『ヘーゲルを読む 自由に生きるために』
ドイツ哲学が専門の研究者によるヘーゲルの入門書。
ヘーゲルの略歴を紹介したあと、主著である『精神現象学』だけでなく『論理学』や『歴史哲学』にも解説が及ぶ。ヘーゲルの思想を「自由の哲学」として読み解くことで、私たちにも接近可能な形でヘーゲル思想を明らかにしてくれる良書である。
西研『ヘーゲル 自由と普遍性の哲学』
西研によるヘーゲルの入門書。しかも文庫である。ヘーゲルの根本概念である「自由」や「国家」などを解説しながらヘーゲルを問い直す。なお西研は『超解読!はじめてのヘーゲル『精神現象学』』も執筆している。
上級編
竹田青嗣+西研『超解読!はじめてのヘーゲル『精神現象学』』
「超解読」シリーズのヘーゲル『精神現象学』編。難解なこの著作を哲学者でありながら入門書も多数執筆している竹田青嗣と西研が解説してくれる。『精神現象学』の問いは「自由のゆくえ」に収斂するという。その自由に至るまでの『精神現象学』の展開を順番に解説してくれる書物となっている。
権左武志『ヘーゲルとその時代』
新書でありヘーゲルの入門書でもあるのだが、題名にもあるとおり、ヘーゲルが生きた時代が彼の思想にどのような影響を与えたのかを解説するのが大枠となっている。ヘーゲルへの影響史という観点からヘーゲルの『精神現象学』や『法哲学』などを理解できる入門書である。
探究編
仲正 昌樹『ヘーゲルを超えるヘーゲル』
アーレントやハイデガーなどドイツ哲学の入門書を多く手掛けている仲正氏による「現代思想におけるヘーゲル」の解説書。それゆえヘーゲルの思想をある程度知っていることが必要である。ヘーゲルが現代思想にどのような影響を与えているのかを知りながら、現代思想も俯瞰しようというまさに探究的な一冊である。
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