現代思想を学ぶのにおすすめの本
現代思想に関する本が数多く出版されている。ポストモダン、ポスト(ポスト)構造主義、フランス現代思想、思弁的実在論など多様な形で議論が展開されており奥が深い。ここではいわゆる現代思想(哲学)と言われるものを解説している入門書を紹介することにした。
現代思想を楽しみながら知りたいという人は入門編、現代思想を深く知りたいという人は上級編の著作から読むべしだ。自分のレベルに合わせて読んでみることをお勧めする。
また、デリダの入門書は「デリダのおすすめ入門書・解説書」、フーコーの入門書は「フーコーのおすすめ入門書・解説書」、ドゥルーズの入門書は「ドゥルーズのおすすめ入門書・解説書」、プラグマティズムの入門書は「プラグマティズムのおすすめ入門書・解説書」で紹介している。ぜひこちらもご覧ください。
超入門編
いしいひさいち『現代思想の遭難者たち』
4コマまんがである。シリーズ『現代思想の冒険者たち』の月報に掲載された好評4コマをまとめたもの。主人公は全員思想家。単純に面白いし、現代思想の哲学者も分かる。
入門編
千葉雅也『現代思想入門』
哲学者の千葉雅也氏による現代思想入門。扱うのはデリダ、ドゥルーズ、フーコーから始まって、そこから現代思想の源流(ニーチェ、フロイト、マルクス)にいき、ラカンやメイヤスー、そしてポスト・ポスト構造主義へと巡っていく。現代思想を生活に活かす入門書。
斎藤 哲也『試験に出る現代思想』
その名の通り大学入試の「倫理」で出題された現代思想の問題を元に分かりやすい解説がなされている。現代思想の源流としてフッサール、ベルクソン、フロイト、ソシュールが扱われ、そのあと20世紀以降の思想としてフランクフルト学派やフランス現代思想、アメリカを中心とした現代正義論やフェミニズムの解説に入る。高校倫理の内容に沿っており、なかなか面白い。
岡本裕一朗『フランス現代思想史 構造主義からデリダ以後へ』
構造主義の大家レヴィ=ストロースからのポスト構造主義へとつながるフランス現代思想史を一望できる。またポスト構造主義以降も扱っており、メディア論などが取り上げられる。フランス現代思想の流れを掴みたい場合はおすすめである。
上級編
小阪修平『そうだったのか現代思想 ニーチェからフーコーまで』
題名通りニーチェからフーコーまでを扱っている。解説される思想家は11人に及び、そこにはハイデガー、ソシュールなども含まれるが、少し古いので逆に思弁的実在論などは解説が及んでいない。ニーチェからの現代思想の流れを知りたい人にはおすすめである。
仲正 昌樹『現代哲学の最前線』
五つのテーマ(正義論、承認論、自然主義、心の哲学、新しい実在論)に分けて現代哲学の最前線を俯瞰していく入門書。テーマごとなのでフランス現代思想だけでなく幅広く現代哲学の議論が追える。まさに今哲学がどのようなことを問題にしているのかを知りたい人におすすめである。
探究編
渡名喜庸哲『現代フランス哲学』
まさに現代のフランス哲学を解説している著作。1980年代以降のフランス哲学の展開を紐解く。ほとんど聞いたことがないであろう思想家の名前もかなり登場する。内容としてはテーマ別(政治、宗教、科学、ジェンダーなど)に分かれて章が進んでいくので理解がしやすい形になっている。最新のフランスでの議論を知りたい人はおすすめである。