産業革命とは
18世紀末にイギリスで起こった産業構造の革命のことです。それによってインド産綿織物の流行や科学革命、鉄鉱石・石炭によるエネルギー革命などの条件が重なって技術革新が起こり綿織物の生産に機械が導入され工場がつくられるなど、産業構造が一変することで人々の生活も変化しました。
産業革命 Q & A
Q 産業革命の背景には何があったのですか。
A 様々な要因がありますが、一番の要因はインド産綿織物のイギリス国内での流行です。安価で良質なインド産綿織物が流行してしまったため、それまでのイギリスの毛織物業が大打撃を受けました。それに対応するために綿花をインドから輸入し、国内で綿織物を作ろうとする動きが生まれました。
そこで活躍するのが、ジョン=ケイの飛び杼やハーグリーブズの多軸紡績機、カートライトの力織機などだったわけです。なんで綿工業関係なんだ?と不思議に思った人も多くいると思いますが、背景にはインド産綿織物の流行によって、それよりも安価で質の良い綿織物を作らざるを得なかったという状況があったのですね。
ちなみに飛び杼や力織機は「織布機」に、多軸紡績機などは「紡績機」という機械に分類されますが違いはなんでしょうか。それは綿織物生産の工程に関係があります。
綿織物(例えば綿の服)を作るとき、原料となるのが綿花です。それ自体はふわふわした一つの減量に過ぎないので、まずこれを紡いで綿糸にします。そして、それを織ることによって服が出来上がります。服とかって一枚の布に見えますが、実は網目状に一本一本織っているだけですよね。
綿花 → 綿糸 → 服(綿織物)
そして綿花から綿糸にする機械が「紡績機」、綿糸から服(綿織物)にする機械が「織布機」なのです。
他に三角貿易が挙げられますね。イギリスはアフリカとアメリカとの間で三角貿易を行なっていました。アフリカからアメリカへ奴隷を輸出し、アメリカからイギリス本国へ砂糖やタバコを持ち帰って、イギリスからアフリカヘは武器や綿織物などの自国の工業製品を送っていました。当然綿織物を輸出しているわけですから、いっぱい作る必要がありますね。作るためには機械が必要です。
Q 他に背景って何かありますか?
A 加えてそもそも技術革新を起こすための技術力があったことも見逃せません。科学革命によってイギリスではこの頃機械工学が進んでいました。
また石炭や鉄鉱石などの資源にも恵まれていました。石炭があれば蒸気機関を動かすことができますね。このような複合的な条件が重なっていたので、イギリスで最初に産業革命が起こりました。
Q 産業革命がおこってイギリス国内はどのように変化しましたか。
A いくつか挙げられます。まずは労働環境の変化です。人々が工場で働かされるようになりましたが、劣悪な労働環境でした。また女性や子どもも労働に参加させられました。人手が足りなくなったのですね。そしてそうした環境の中スラム街も形成されていきました。さらにもともと毛織物業を営んでいた手工業者(職人)が反対運動を起こしたりもしました。機会でつくった綿織物には敵わなかったからですね。それで手工業者たちは工場の機械を壊したりしました。これがいわゆる「機械打ち壊し運動」です。
Q 国外にはどのような影響を及ぼしましたか。
A インドやアメリカ合衆国南部との関係では、それらの国が綿花(綿織物の原料)の供給地となってしまいました。国際的な分業体制の成立です。
また工業化によって高い精度の銃砲が大量生産されることになりました。産業革命の恩恵です。それによってアジアやアフリカに対して軍事力で圧倒的に優位に立つことになりました。その優位性が全面的に現れた戦争が中国 vs イギリスのアヘン戦争などですね。
より詳しい解説は【産業革命(第一次)】ー「世界史の窓」さんのサイトへ。
産業革命テスト
問題
問1:飛び杼、力織機、蒸気機関車を発明した人はそれぞれ誰でしょう。次の語群からそれぞれひとりずつ選べ。
【語群】 ジョン=ケイ スティーブンソン カートライト
問2:三角貿易に関して、(A)(B)(C)当てはまる言葉を語群から選びなさい。
【語群】 綿織物 砂糖 奴隷
イギリス
( C )↗︎ ↘︎( A )
アメリカ ← アフリカ
( B )
答え
問1 飛び杼:ジョン=ケイ | 力織機械:カートライト | 蒸気機関車:スティーブンソン
問2 A:武器 B:奴隷 C:砂糖