『こころ』の感想を女子高生2人が語り合う|書評? 

『こころ』の感想を女子高生2人が語り合う|書評? 

『こころ』を最近読んだネット繋がりの女子高生2人がだらだらと語り合う記事です。

自己紹介

ちろの(高2)

白桃(高3)

読んでみてどうだった

白桃
 とりあえずどうだった。

ちろの
 いやあ、全体的に「しっくり〜!」って場面が多かった!なんか、なんとなく感じてた部分が言語化されてて感動した。

白桃
 全部カッチリハマってくよね、あーあれだ、精神科医の動画見てる気分。

ちろの
 たしかに!笑。なんてジャンルになるんだろうね、私の好きなジャンルだった。展開重視じゃない、心情とかの生暖かさがある作品が好き。

好きだったシーンやらセリフやら

白桃が好きだった章

ちろの
 こころは上先生と私、中両親と私、下先生と遺書の3部構成になってるけど、白桃さんはどの章が好きだった?

白桃
 う〜ん…、いやー先生と私だな。

ちろの
 ほおほお。

白桃
 なんか小さい頃この本読んだことがあって、私が先生と茶屋で休んでるところが印象的で結構好き。やっぱ出会いの段落だし、わくわくしたな。

ちろの
 わくわく感大事。私もハリーポッター1巻一生見てるし。先生と私は、すごい先生が魅力的だよね。

白桃

私は冷(ひやや)かな頭で新らしい事を口にするよりも、熱した舌で平凡な説を述べる方が生きていると信じています。血の力で体(たい)が動くからです。

 そう、魅力的。ここ良かった。なんかこう特別であるとか、特異であるとかじゃなくて陳腐であることが逆にイイ!みたいな。作中を通してだけど、”普通”であることを大切にしてる感じがしてよかった。

ちろの
 壮大な…何かではなく…身の丈にあった………的な…………ね。

白桃
 そうそう。

ジブリと比べて

ちろの
 ちょっと話ズレるんだけど、私が「こころ」を読んでた時期にちょうど「君たちはどう生きるか」も見たから、思ったことがあって。

 なんか、ジブリってさ絶対的に頼れる母親ポジ、いるじゃん。君どうだったら若いきりこさん?とか。

白桃
 いるね。

ちろの
 でもこころの登場人物はみんな頼りなくて、弱くて、醜くて。なんかジブリとは意味の違う安心感があった気がする笑。

白桃
 余すとこなく描かれてたよね。人間味がものすごくあった。

ちろのの好きだった章

白桃
 好きな段落は、ちろのさんも同じ?

ちろの
 いや!私は先生と遺書だなー!Kが…良い。

 好きな場面があってだな…………結構なんでもないシーンなんだけど、Kが死ぬ前夜の場面で、もう寝たか?って襖を開けてKが先生に聞くんだよね。

見ると、間の襖が二尺ばかり開いて、そこにKの黒い影が立っています。そうして彼の室には宵の通りまだ燈火が点いているのです。急に世界の変った私は、少しの間口を利く事もできずに、ぼうっとして、その光景を眺めていました。

 ここ!ここです!すごく、情景が美しくないか!?光と影とかが綺麗。光もあったかいオレンジ色を想像するんだけど、この後起こることを考えたらすごく怖いシーンなんだよね。先生に気づかれないように死のうとしてたKが、先生が起きてるか確認したシーンってことだし…。

白桃
 ランプか何かで、Kの顔をよく確かめれなかったってとこも好きだったよ私。

ちろの
 そー!そうそう!良い!

 そして、Kが死んだ夜も、先生に起きてるか尋ねたのかなと思うと……………。

白桃
 ダーッッッ!!!

ちろの
 なんか、質の良いBL読んでる気持ち、死ネタBL。

白桃
 正直たまらないなーと思う。

先生とKの最後

ちろの
 先生の最後ねー!

白桃
 先生の、あなたは腹の底から真面目ですか、とか、記憶して下さい。私はこんな風にして生きて来たのです。 の言葉、わたしに対しての期待というか、割り切れないこの感じ…めっちゃ弱さが出ていてすごくよかった。わたしは先生から多くを参考にしようとしてたし、ものすごく真面目な好奇心とかで先生を知ろうとしてたんだけど、先生は先生でちゃんと、わたしに対する言葉にできない憧憬に近い何かがあったんだよな…って、ちょっと興奮しました。

ちろの
 そう!憧れ!あったよね!

私は死ぬ前にたった一人で好(い)いから、他(ひと)を信用して死にたいと思っている。

 このセリフね…自分よりずっと若くて真面目で、大胆でまだ何も分からないししていない私に、やってしまったこととかを後悔してる先生が憧れて姿を重ねてるところあると思うんだよね。遺書を出したのも、なんか私宛でもあり、過去の、自分宛でもあるのかなあと…。

白桃
 なんかそれでいうと先生ってほんとに最初から最後までずっと過去に生きてて今とか未来とかを見ようとしなかったよね。

ちろの
 多分Kが死んだのと同時に、もう先生もある意味死んでたんだろうね。

白桃
 実質先生が心中相手に選んだのは妻じゃなくてKだった…

ちろの
 でさ、KもKでさ、最後、もっと早く死んどけばよかったものを…って言うじゃん??多分あの先に続くのはさ、「もっと早く死んどけば、親友に裏切られることも、いや、親友に裏切らせて苦しめることもなかったのに」だったと思うんだよ。

 結局”覚悟”は、恋をしてしまった精神的に向上心のないバカな自分を殺すことだっただろうし、いやあ覚悟ね、覚悟。どこまでも理屈っぽい人間しかいねぇんですわ。

白桃
 いや、ほんとに。理屈は人を殺すはマジだよ。

ちろの
 もう良いんだよ、過去に自信満々に言ったことに責任取らなくて。考え方変わったわ〜ってころころ変えていいんだよ。

白桃
 いやーほんとにそう。一貫性を求めてたら生きていけない。

 Kは信念に生きすぎてたよね、最後の最後まで曲げれなかったし。

ちろの
 ディ○ニーとかだったら、「信任に背いた禁断の恋……涙、でもこの思いは止められない!!愛は偉大だー!好きー!けっこーーーん!!ハッピー!」って感じやろな。

 それが『こころ』では、「信念に背いて恋愛をしてしまった……ああ……友達にも裏切られた…孤独や…無理…死ぬ…ずしゃあ」

白桃
 いやほんとにね。魔法の絨毯とか乗っちゃってさ、歌えばノーカンなのに。

ちろの
 歌えばノーカン!笑。

一番感情移入できたのは?

ちろの
 え、一番感情移入できたのは誰だった?

白桃
 先生!笑。

ちろの
 わ、わかるー!そう、私たちは醜い。

 だって、私もKの遺書に裏切った自分のこと書かれてなくて「助かった…!」と思う自信しかないもん。

白桃
 なんならそういう、反省より先に安堵がくる経験に身に覚えしかないからな。

余談

ちろの
 白桃さんは学校で習ったんだよね?

白桃
 そうそう、ほんとに最近。

ちろの
 どこしたの?流石にKが死んだところはできないか。

白桃
 クライマックスのとこだけ引用して、先生とKとの心情とか読み解きながらって感じかな。

ちろの
 あ、K死んでた?もしかして。

白桃
 死んでた笑。先に死んだのネタバレされたからあー死んだんだなって思いながら読んでた笑。

ちろの
 いやー最悪!

最後に

ちろの
 読んだ時、もっと前に読んどきゃ良かったーとなる本も多いんだけど、個人的には今読めて良かったと思いましたよ。そして、多分この先も読み返したら見方が変わるんだろうなという本でした。

白桃
 いやーそうだね、また読みたい。私たちみたいな歳って3ヶ月とか違うだけで感じ方ほんとに変わるからね。

ちろの
 そうめちゃくちゃ悔しいけど思春期らしいから。いやダサいな。情緒過敏期間とかそんなかっこいい感じに…………。

白桃
 逆にダサいだろ。若干不安定期間。

ちろの
 はい、ということで、めちゃ面白い作品でした。

白桃
 でした〜。

ちろの
 是非「こころ」は情緒過敏若干不安定期間に読んでください。以上!

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