地球史のおすすめ入門書・解説書・専門書!

地球史のおすすめ入門書・解説書・専門書!

日本の地球史のおすすめ本の基準は?

難易度とわかりやすさで選びました

 海と陸で覆われた地球。我々の地球は大いなる自然に恵まれ、人間にとって快適な温度のなか生活しています。しかしこのような恵まれた環境は、決して当たり前のことではありません。

 地球誕生は46億年前。そのこは地球はいまよりはるかに高温で、マグマの海に覆われていました。そこから海と陸の形成、生命の誕生、酸素濃度の上昇(大酸化イベント)、哺乳類の誕生と、地球にはさまざまな大きな変化が訪れて現在を迎えています。

 地球史を振り返ると、地質現象の時間スケールと空間スケールの大きさに驚かされ、ダイナミックさに魅了されることを間違いありません。

 また地球史を振り返ることは、生命誕生の可能性の条件を探ることであり、地球外生命体の発見に繋がる重要な手がかりがあるかもしれません。

 そこで一般人から大学生・大学院生まで、初心から専門まで満足できるようにおすすめ本を網羅的に紹介します。地球史はまだまだ解明されていない謎が山のようにあります。地球の歴史のダイナミックさに打たれてみましょう!!

 因みに科学の最新情報は、科学メディア「オプクエ」がおすすめです。最新の情報をわかりやすく解説してくれています。

初心者・一般人向け入門書・初級編

田近英一『46億年の地球史: 生命の進化、そして未来の地球 (知的生きかた文庫)』(2019年)

 最近の知見を踏まえて、46億年にもおよぶ地球史を見つめ直す最新の入門書です。カラーで見やすいです。

 地球全体に影響を及ぼした大規模イベントをコンパクトにわかりやすく解説しています。読みやすく飽きることもないため、最初の一冊としては最適です。

 登場するイベントは、ジャイアント・インパクト、生命の誕生、スノーボール・アース(全球凍結)、大酸化イベント(GOE)、恐竜の絶滅、人類の誕生などで、どれもスケールの大きさに驚きます。

 地球の未来を知るためにも、地球史を学ぶことは必要不可欠でしょう。

中沢弘基『生命誕生 地球史から読み解く新しい生命像 (講談社現代新書)』(2014年)

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講談社
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 地球史の大問題の一つが「生命の起源」です。生命の起源は諸説あり、研究者の中でも未だに確定していません。

 宇宙から外来したとする説(パンスペルミア説)や、水の中で無機物から有機物が作られたとする説など、有力な説がいくつもあります。

 粘土鉱物の専門家である著者は、海ではなく地中深くで生命誕生の元になる有機物の生成が行われたと主張します。

 深淵な起源への問いに、科学的に明瞭に検証する手際がエキサイティングです。

丸山茂徳ほか『生命と地球の歴史 (岩波新書)』(1998年)

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 地球史という学問の魅力の全てが詰まっています。20年以上前の出版にもかかわらず、内容はいまだに色あせていません。必読の書で、もはや古典と呼べるかもしれません。

 本書の凄さは面白さだけではありません。独創性に溢れたアイデアが豊富に詰まっていて、研究の醍醐味を教えてくれるのです。

 のちに著者は、本書で書かれた半分は間違っていて半分は当たっていた、とどこかで書かれていたことを覚えています。間違えていたとしても恐れずにアイデアをだそうという心意気と、検証する地道な作業が科学者には求められているのです。

唐戸俊一郎『地球はなぜ「水の惑星」なのか 水の「起源・分布・循環」から読み解く地球史 (ブルーバックス)』(2017年)

 地球史において、水は最も重要な物質の一つです。気温の安定化、栄養の循環、そして生命の誕生に必要不可欠なのが「水」なのです。

 本書は「水」に注目して、地球史を読み解く試みです。地球全体の質量からすると、たった0.023%しかない水が何故重要なのかを、丁寧に解説してくれます。

 また「水」は地球表層に存在するだけでなく、地球内部に送り込まれ、また地球内部から排出されながら、地球環境の制御に寄与しています。「水」の隠れた役割を探ってみましょう!

田近英一『地球・生命の大進化 (大人のための図鑑)』(2012年)

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 「ビジュアル版」というだけあって、図や写真や漫画が盛り沢山です。

 地球史というのは過去を推測する学問なので、抽象的になりわかりにくいことがあります。例えば、全球凍結(スノーボールアース)が24億年前にあったと言われてもなかなか想像しにくいです。

 本書は直感的な理解のために、親切に写真や絵が配置されています。入門書の教科書のような位置づけの本です。

大学生・大学院生向け専門書・中級・上級編

松尾禎士・監修『地球化学 (KS自然科学書ピ-ス)』(1989年)

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 地球史を研究する手法はいくつかありますが、最もよく使われるのが「化学」であり、地球化学という分野が確立しています。

 どのように研究するかというと、数十億年前に形成した岩石をとってきて、化学分析にかけるのです。すると当時の環境が復元できる場合があって、すでにかなりの蓄積があり、このおかげで入門書で解説された「地球史」が素描できるわけです。

 本書は地球化学だけでなく岩石学まで踏みんで網羅的に書かれています。この一冊で大学レベルの内容を学ぶことができます。名著です。

丸山茂徳『地球史を読み解く(放送大学大学院教材)』(2016年)

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 放送大学での講義を書籍化したもので、大学生の教科書として最適です。ところが大学生ほどの知識がなくても読めるくらいの難易度で、入門編を読んでも好奇心を満たされなかった場合はこちらを読むことをおすすめします。

 1998年に出版された『生命と地球の歴史 (岩波新書)』からものすごくグレードアップしていて、体系的にもまとまっていて内容も濃いです。

 新たに「地球史20大事件」が提唱されていて、常に新説を出し続ける著者の力強さがうかがえます。

小林憲正『生命の起源―宇宙・地球における化学進化― (KS科学一般書)』(2013年)

 地球だけでなく宇宙まで視野に入れながら、生命の起源を探ります。

 最近研究が盛んな「アストロバイオロジー」の教科書です。アミノ酸や核酸の説明など、化学の観点から解説しています。地球史とは一見関係がないようにみえるのですが、地球史で得られた知見がふんだんに使われており、地球史の研究者も研究している隣接分野です。

 難しくなりすぎないように配慮されています。さまざまな仮説が検証されていて学びが多いです。

佐野有司ほか『地球化学 (現代地球科学入門シリーズ 12)』(2013年)

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 「現代地球科学入門」シリーズの一冊。地球形成当初の大気組成から大酸化イベントまで、専門的に解説されています。『地球化学 (KS自然科学書ピ-ス)』の次に読むとよいです。

 放射性元素や同位体の知識が必要ですが、解説もついているので頑張れば大学二年生くらいでも読めるでしょう。網羅的に解説しています。

 本書を読み切れば、本格的な研究に向かう土台ができたことになると思います。ちなみにこのシリーズ本は全部お勧めです。

野津 憲治『宇宙・地球化学 (朝倉化学大系)』(2010年)

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 『地球化学 (現代地球科学入門シリーズ 12)』と双璧をなします。さらに宇宙化学の領域も解説されています。

 地球史は地球化学だけでなく、宇宙化学やアストロバイオロジーなど様々な領域と相互に参照しながら発展しています。したがってありとあらゆる分野に詳しくなることが求められます。

 その観点からいうと、本書は最適だといえます。宇宙化学も含めて学習しておけば、地球史の理解も深まること間違いなしです。

ほかの分野にも挑戦してみよう

 本記事では、地球史に興味がある方向けに本を紹介しました。一般書から専門書まで、初学者から大学生まで誰でも楽しめて勉強になるラインナップになっています。

 この分野は隣接領域にも面白い分野が広がっています。地球を調べることは、火山学や地震学、さらに日本の地質学とも近しい関係にあるのです。

 地球史に興味を抱いたのならほかの分野にも挑戦してみるのも面白いかもしれません。地震学は「地震学を学習するためのおすすめ本を紹介!」、火山学は「火山学を学習するためのおすすめ本を紹介!」、地質学は「日本の地質を学習するためのおすすめ本を紹介!」で紹介しています。

 ぜひこちらも参考にしてみてください。

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