火山学のおすすめ入門書・解説書・専門書!

火山学のおすすめ入門書・解説書・専門書!

火山学のおすすめ本の基準は?

難易度とわかりやすさで選びました

 日本の美しい景色といえば富士山!!しかし富士山は過去にはいまのような形をしていませんでした。それどころか、数百年スパンで大噴火を繰り返し、日本に住む人々に多大な被害をだしてきたのです。

 日本で住むとは火山と共生することを意味します。しかしなぜ日本に火山がこれほどにまで多いのでしょうか?

 火山と共生するためには、火山のメカニズムを知ることや防災の知識を得ることが不可欠です。

 そこで一般人から大学生・大学院生まで、初心から専門まで満足できるようにおすすめ本を網羅的に紹介します。日本は火山が多数あり定期的に被害を及ぼしてきたため、精力的に研究がなされてきました。そのおかげで入門書から専門書まで良書がたくさんあるのです。

 ぜひ一度読んでみましょう!

 因みに科学の最新情報は、科学メディア「オプクエ」がおすすめです。最新の情報をわかりやすく解説してくれています。

初心者・一般人向け入門書・初級編

小山真人『富士山大噴火が迫っている! ‾最新科学が明かす噴火シナリオと災害規模‾ (知りたい!サイエンス)』 (2008年)

 著者の小山真人さんは富士山や伊豆の火山群の研究者で、ブラタモリでは富士山の案内人を務めました。

 また伊豆半島ジオパークの設立に尽力しました。伊豆半島ジオパークのサイトには、伊豆諸島の見所の紹介が充実しています。ぜひ活用して伊豆半島を訪れてみましょう。

 過激な題名とは打って変わって、火山のメカニズムの丁寧な説明(0章)から富士山の歴史(1~2章)、想定被害額や防災の解説(3~6章)と網羅的に説明されています。

日本火山学会『Q&A 火山噴火 127の疑問 噴火の仕組みを理解し災害に備える (ブルーバックス)』 (2015年)

 戦後最大の火山災害を引き起こした御嶽山の噴火から一年というタイミングで、日本火山学会から出版されました。

 Q&A方式で127の疑問に答えた本書は、素朴でかつ本質的な質問に丁寧に答えています。例えば、富士山は噴火しないのか、あるいは噴火予知は可能なのかといった問題に、火山学者が解説をしています。

 日本火山学会が編集していることからも分かる通り、本書は最新の知見を導入して正しく回答しています。

鎌田浩毅『マグマの地球科学 火山の下で何が起きているか』 (2008年)

 火山はなぜ日本にこれほどにまで密集しているのか、不思議に思うことはありませんか。

 実は火山はプレートテクトニクスと密接に関わっています。この理論を用いれば、地震や火山を関連付けられますし、火山のメカニズムの多くを解明することができるのです。

 火山は地表に現れた一部分でしかありませんが、その地下では何が起こっているのかを、プレートテクトニクスを絡めつつ丁寧に説明しています。

 最後には地熱発電やエネルギーの問題にまで議論が発展し、考えるだけでワクワクするような内容にもなっています。

鎌田浩毅『富士山噴火と南海トラフ 海が揺さぶる陸のマグマ (ブルーバックス)』 (2019年)

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講談社
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 東北大震災のあとのある種の危機感のもとに書かれています。

 第1部は「富士山噴火で起こること」、第2部は「南海トラフと富士山噴火」です。富士山噴火と南海トラフの地震は、どちらも近い将来起こる可能性が非常に高い、大変危険な災害であり、その将来について専門的な観点から説明しています。

 例えば、第4章は「火砕流と火砕サージ 山麓を焼き尽くす高速の熱雲」で、火山噴火が起きたさいに起こる「火砕流」という現象の特徴と危険性についてで、知りたかったのはコレですよ、と思わず言いたくなるような内容です。

大学生・大学院生向け専門書・中級・上級編

吉田武義ほか『火山学 (現代地球科学入門シリーズ)  』(2017年)

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 学部生から大学院生に向けて出版された専門書です。

 火山学という分野は、ありとあらゆる学問の結集という側面があります。岩石学的知見、流体力学、物理学などなど、幅広い知識が必要になるのです。

 そのような総合的知を幅広く平易に解説したのが本書になります。基礎的な理論から、防災まで内容は多岐に渡ります。出版年度も比較的新しく、これからの火山学を学ぶ学生にとっては、標準的な教科書になるでしょう。

今井 功『流体力学 (物理テキストシリーズ 9)  』(1993年)

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 火山の噴火はどのようにして起こるのでしょうか。ある日突然、地球中心からマグマが噴き上がってくるわけではありません。実は地下数kmの地点に、「マグマだまり」というマグマの貯蔵庫があり、そこからマグマが噴出するのです。

 マグマは剛体ではなく流体として運動します。したがって物理学の中でも流体力学という学問の知識が必要になるのです。

 大学でも流体力学を学ぶ人は少ないかもしれませんが、川や雲の動きも流体力学で記述できるので、応用範囲も幅広くとても面白いです。

ハンス‐ウルリッヒ シュミンケ『新装版 火山学: I火山と地球のダイナミクス 』(2016年)

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 火山は発生メカニズムだけが重要ではありません。火山体の構造や火砕流など、実際には副次的なものが非常に重要になってくるのです。

 本書は網羅的で本格的な解説書を和訳したものです。火山学を学ぶにおいて重要なことは、噴火とその影響をイメーズすることだと思います。

ほかの分野にも挑戦してみよう

 日本に住んでいると火山は身近なものであります。温泉や美しい風景は火山の恩恵である一方、火山噴火による災害も想定していなくてはなりません。日頃から興味をもち、もしものときの防災に努めましょう。

 本記事では、火山学に興味がある方向けに本を紹介しました。一般書から専門書まで、初学者から大学生まで誰でも楽しめて勉強になるラインナップになっています。

 この分野は隣接領域にも面白い分野が広がっています。地球を調べることは、地震学や地質学、さらに地球史とも近しい関係にあるのです。

 地球史に興味を抱いたのならほかの分野にも挑戦してみるのも面白いかもしれません。地震学は「地震学を学習するためのおすすめ本を紹介!」、地質学は「日本の地質を学習するためのおすすめ本を紹介!」、地球史は「地球史を学習するためのおすすめ本を紹介!」で紹介しています。

 ぜひこちらも参考にしてみてください。

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