ヘルマン・ヘッセの最新おすすめ有名作品7選|小説、詩、代表作

ヘルマン・ヘッセの最新おすすめ有名作品7選|小説、詩、代表作

概要と作風

 ヘルマン・ヘッセはドイツ生まれの詩人、小説家でドイツを代表する文豪です。

 1877年に生まれ、1962年に亡くなりました。つまり、20世紀前半のヨーロッパという激動の時代を生き抜いたことになります。

 彼の作風には二つの体験が色濃く影響していて、それがヘッセ作品の特徴を生み出しています。

精神的不安定

 一つ目が少年の頃の精神的な不安定さです。ヘッセは若い頃精神が不安定で、神学校を脱走したり、自殺未遂を繰り返したり、職も手につかずすぐ辞めたりしています。ヘッセの少年の日の思い出はそれほど楽しいものではありませんでした。ヘッセには『少年の日の思い出』や『車輪の下』など少年を主人公にした小説が数多くありますが、このことが原体験になっていると言われています。

二つの世界大戦

 もう一つが二つの世界大戦です。この対戦は彼の作風を根本から変えてしまうほど深い影響を与えました。大きく変わったのが、西洋文明批判を行うようになったことです。それは彼の第一次世界大戦前のインド旅行とも深く関わっています。東洋を知り、西洋を相対化できるようになったヘッセは、その立場から戦争批判を行なっていきます。

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おすすめ作品

 日本では「車輪の下」「少年の日の思い出」が有名ですが、実はそれらは代表作ではありません。ヘッセには傑作が数多くありますので、ここではそのうちのおすすめを紹介したいと思います。Amazonでは、期間限定キャンペーンで値段が安くなっていたりしますので、確認してみてください。

郷愁(1904年)

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 27歳の時の作品。ヘッセが初めて注目された出世作です。これで小説家としての道が見えてきました。

 原題は『ペーター・カーメチント』(Peter Camenzind)。これは、この本に登場する主人公の名前です。『少年の日の思い出』も原題は Das Nachtpfauenauge(クジャクヤママユ)だったように、日本の題名はいくぶんか感傷的な題名になっていますね。そんなこんなで日本では、ヘッセは甘美な青春文学の作家だという印象を植えつけられてしまいました。後期になるとガラリと変わりますけどね。

 主人公のペーターは文筆家を夢見て田舎から都会に出てきます。そこからあることをきっかけにまた故郷に戻っていくのですが、葛藤や苦悩、都会と田舎の対比など、美しい自然描写を織り混ぜて鮮やかに描きます。

 この小説も青年にかけてのヘッセの希望や苦悩が原体験となっていますね。

少年の日の思い出(1911年)

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 ヘッセといえば『少年の日の思い出』を思い出す人は少なくないでしょう。この作品は国語の教科書に採用されていているので、多くの人が読んだことがあるはずです。

 ぼくとエーミールのチョウチョを巡る少年の日の思い出が描かれます。

 この作品は大変良くできているにも関わらず、実は、日本でしか有名ではありません。その理由は下の記事で解説しています。

>>関連記事:『少年の日の思い出』感想|母が優しくしてくれたのはなぜか|あらすじ解説・伝えたいこと考察

車輪の下(1905年)

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 日本で最も有名なヘッセの小説といえば、この『車輪の下』です。この作品はヘッセの自伝的長編小説です。

 主人公は周囲の人々から期待される将来有望な少年。そんな彼がその期待に応えながら、重圧に踏み潰されていく様子を描きます。

 ヘッセらしさが最もよく出た作品です。他の作品を読んでピーンときたなら、次に本作を読むことをおすすめします。

デミアン(1919年)

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 ヘッセの一番の代表作です。この小説の執筆時スイスに住んでいたヘッセは、祖国であるドイツに反戦を訴えます。しかしながらドイツではそのことで批判を受けるなど過酷な状況でした。第一次世界大戦が始まり、根底から西洋の価値観を疑い始めた時の小説です。

 正式なタイトルは『デミアン:エーミール・シンクレールの少年時代の物語』(Demian : Die Geschichte von Emil Sinclair Jugend)。最初に刊行された時の作者名は「エーミール・シンクレール」とされていました。副題の名前が作者名だったんですね(1920年にヘルマン・ヘッセに変更)。

 主人公である10歳の少年シンクレールは不良に苦しめられていたのですが、そのシンクレールを救ったのが転校生のデミアンです。デミアンは哲学的な人間で、カインとアベルの逸話や明と暗の二つの世界について語ってくれます。シンクレールがそんなデミアンに影響を受け、真の自己を探究し始めるという話です。

シッダールタ(1922年)

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 第一次対戦を境にヘッセは作風を大きく変えます。戦前に訪れたインド旅行に触発されたのです。それを反映させたのがこの『シッダールタ』です。

 この小説では悟りを開く前の釈迦の姿を描きました。東洋に対する深い感受性と西洋的価値観に対する猜疑からこの小説は生まれました。

ガラス玉遊戯(1943年)

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 第二次世界大戦中に執筆した小説で、この小説により戦後(1946年)にノーベル文学賞を受賞しました。ヘッセの中で最も長い長編作品です。

 長らく翻訳がなされてきませんでしたが「日本ヘルマン・ヘッセ友の会」が全集版で翻訳してくれました。

 主人公の少年クネヒトは、天才のガラス玉遊戯者です。その才能溢れたクネヒトの遊戯者としての生涯が描かれます。

ヘッセ詩集(愛することができる人は幸せだ)

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 ヘッセの詩文集です。ヘッセは多くの詩を書いており、「途上」「孤独者の音楽」などが有名です。

 実はヘッセは自分のことを詩人だと考えていました。もともとなりたかったのも詩人で、「詩人になれなければ何にもなりたくない」とまで言っていたそうです。

 ヘッセは小説家として高い知名度がありますが、優れた詩がたくさんあります。今回は「愛することができる人は幸せだ」を選びましたが、他にもまだまだヘッセの詩集が出版されていますので、一度検索して他のを探してみてください。

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ほかの小説や批評にも挑戦してみよう

 本記事ではヘッセのおすすめ作品を紹介しました。

 有名で知っている本から、読んだことのない本まであったと思います。どれか一つでも気に入る作品を見つけていただければ嬉しいです。

 ほかに「世界文学のおすすめ」、「日本文学のおすすめ」、「フランス文学のおすすめ」、「イギリス文学のおすすめ」、「感染症文学のおすすめ」でもおすすめ小説を紹介しています。

 ほかに批評理論や哲学などを嗜むと、より一層文学を楽しめると思います。

 批評理論のおすすめ本は「批評理論のおすすめ本」、批評理論は「批評理論をわかりやすく解説」、哲学入門書は「哲学初心者向けの人気おすすめ著作」、哲学必読書は「本格的な人向け哲学書必読書」で紹介しています。

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