サルトル哲学がわかる!最新おすすめ入門書・解説本・著作を紹介

サルトル哲学がわかる!最新おすすめ入門書・解説本・著作を紹介

サルトル哲学を学ぶためにおすすめの本

ジャン=ポール・サルトルの哲学を学ぶといってもいろいろな段階があるので、入門編から上級編まで難易度別に人気おすすめ著作を紹介することにした。

サルトル哲学を楽しみながら知りたいという人は入門編、サルトル哲学を深く知りたいという人は上級編の著作から読むべしだ。自分のレベルに合わせて読んでみることをお勧めする。

他に、フッサールハイデガーメルロ=ポンティボーヴォワールカミュレヴィ=ストロースのおすすめ入門書・解説本・著作を紹介している。

また「現象学のおすすめ入門書・専門書」「本格的な人向けおすすめ世界の哲学書」も紹介している。

ぜひそちらもご覧ください。

入門編

村上嘉隆『人と思想 サルトル』

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「人と思想」シリーズのサルトル編。サルトルの生涯と彼の思想が紹介されている。

サルトルは哲学者でありかつ作家でもあり小説も多数存在するが、それらも含めて彼の思想の全体像を掴める著作となっている。

梅木達郎『サルトル 失われた直接性を求めて』

サルトルの『嘔吐』から入って主著『存在と無』を主に分かりやすく解説した良書。ページ数がそれほど多くないのでスラスラと読める。

直接性というキーワードから他者や歴史の問題へと進んでいくというスリリングな入門書でもある。

熊野純彦『極限の思想 サルトル 全世界を獲得するために』

レヴィナスカントの著作の翻訳でも有名な熊野純彦によるサルトルの解説書。主に主著である『存在と無』の解説がなされている。

無、対他存在、対自存在など哲学用語が飛び交う『存在と無』であるが、本書を読めば『存在と無』の内実が掴めるようになるだろう。

なお『聖ジュネ』『自由への道』など、他の作品群にも触れているのが良いところである。

上級編

伊藤直『戦後フランス思想 サルトル、カミュからバタイユまで』

戦後フランス思想の枠組みの中でサルトルを解説した一冊。

戦後フランス思想の主導的リーダとなったサルトルの思想は第一章で外観される。

第六章ではサルトルとバタイユの対立が、第七章ではサルトルとカミュの対立などが描かれるので、そういった広い視野でサルトル思想を学ぶのにおすすめの一冊である。

『サルトル読本』

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「読本」シリーズのサルトル編。サルトルと他の思想家との影響関係や最新の研究などサルトル思想や研究の全体像が掴める。

さらにサルトルを探究したい人が興味の湧くテーマを見つけるのに最良の一冊となっている。

著作

サルトルは元々フッサールの現象学を研究しており、フッサールハイデガーの影響下で『存在と無』(1943年)を出版した。

また、サルトルは作家としても有名であり、代表作の『嘔吐』は1938年に出版されており、哲学者と作家としての二つの顔を持つ。

サルトルの著作は全集もあるし文庫化されているのも結構ある。読むのに困らないが、なかには翻訳が古くさいのもある。とりあえず迷ったら新しい訳のものを買うのをおすすめする。

ここでは翻訳の最新状況や執筆背景を紹介しよう。

鈴木 道彦訳『嘔吐 新訳』(2010年)

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ル・アーヴルで哲学教師として働いていた1931年ごろから執筆を開始する。

ル・アーヴルでの悶々とした日常生活、1933年からのドイツ留学でのフッサールの現象学やハイデガーの存在論からの学び、戦間期の社会的不安が交錯し、実存哲学の思索を深めていく。

そして、1938年に哲学的小説として『嘔吐』を出版。

これにより、一躍世界的な名声を得たサルトルはノーベル文学賞に選ばれることになった(しかし辞退)。

関連記事:サルトル『嘔吐』解説|なぜ吐き気を催すのか|考察・あらすじ

澤田・水野訳『イマジネール 想像力の現象学的心理学』(2020年)

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講談社
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1927年に高等教育修了論文「心的生におけるイメージ」を元にし、その論文の後半部を1940年に出版したものが『イマジネール 想像力の現象学的心理学』である。

バタイユやガストン・バシュラールらがイメージや想像力に関心を寄せていた1930年代、サルトルも想像力に注目していた。自分にメスカリン注射をうって実験するなど、身をもって想像力を研究する。

そして、想像力を現象学的手法で分析した彼は、心的イメージが単なる知覚の再現ではなく意識の創造的・自由な働きであることを主張し、新たな路線を本書で提唱する。

『存在と無』(1943年)や『嘔吐』(1938年)の土台ともなる著作で、非常に読むのに価値ある一冊である。

本書は文庫版での新訳で、これまでに『想像力の問題』(サルトル全集12、人文書院)が出版されていた。

松浪 信三郎訳『存在と無』(2007-2008年)

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サルトルの主著で1943年の著作。それまでハイデガーやフッサールの現象学を学んでいたサルトルがその立場から存在論について論じたものであり、実存主義ブームを巻き起こした。

文庫版の翻訳は現在このちくま学芸文庫しかない。サルトルの主著なので新訳が出てきてもいい頃であるが、文庫で3巻本の超重量級なので、あまり売れる見込みもないのかもしれない。

伊吹・海老坂・石崎訳『実存主義とは何か』(1996年)

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本書に収められている『実存主義はヒューマニズムである』は1945年に行った講演をもとに、1946年に出版したもの。

題名通り、実存主義とは何かについて、サルトル自身が解説している。

関連記事:実存主義とは何か|意味をわかりやすく解説|サルトル『実存主義はヒューマニズムである』

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