マックス・ウェーバーを学ぶのにおすすめの本
マックス・ウェーバーの思想を学ぶといってもいろいろな段階があるので、入門編から上級編まで難易度別に人気おすすめ著作を紹介することにした。
ウェーバーを楽しみながら知りたいという人は入門編、ウェーバーを深く知りたいという人は上級編の著作から読むべしだ。自分のレベルに合わせて読んでみることをお勧めする。
また、他のおすすめ書物は「ヘーゲルのおすすめ入門書・解説書」「マルクスのおすすめ入門書・解説書」「シュミットのおすすめ入門書・解説書」「ハイエクのおすすめ入門書・解説書」「ベンヤミンのおすすめ入門書・解説書」「本格的な人向けおすすめ世界の哲学書」などで紹介している。
ぜひそちらもご覧ください。
超入門編
『支配されるか、支配するか マックス・ウェーバーの「経済と社会」より』
ウェーバーが明らかにした権力支配の構造(支配の3類型(伝統的支配、合法的支配、カリスマ的支配))を、昭和の時代を題材にして学べます。漫画なのでストーリーの展開があり面白い。
超入門としておすすめの一冊。
入門編
野口雅弘『マックス・ウェーバー 近代と格闘した思想家』
マックス・ウェーバーの「哲学的・政治的プロフィールを描く」と銘打たれた入門書。ウェーバーの生涯を辿りながら、重要著作や主要概念にも言及しその思想を解説。様々な角度から多角的にウェーバーを見ようとする試みが特徴である。
初学者向けに丁寧に書かれており、力作と評判が高い。
橋本努『解読 ウェーバー『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』』
実はウェーバーの主著『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』(略して『プロ倫』)が難しくてよくわからないという人が多い。そういう人のために『プロ倫』の核心を解き明かしたのが本書である。『プロ倫』の解説書がほとんどない中で、なかなかの良書である。
著者は社会経済学、社会哲学が専門で『自由に生きるとはどういうことか 戦後日本社会論』などの著作がある橋本努。
今野元『マックス・ヴェーバーーー主体的人間の非喜劇』
ヴェーバー*がどのように作品を生み出していったのかを、ヴェーバーの生涯とそれを取り巻く歴史的文脈から解明していく。つまり、ヴェーバーの生涯の方に焦点を当てた入門書。
ヴェーバーの伝記に関してはだいぶ詳しく書かれているので、そちらを詳しく知りたいという人におすすめの一冊。
*ヴェーバーはドイツ語発音。
仲正昌樹『マックス・ウェーバーを読む』
著作や思想に焦点を当てて解説したウェーバーの入門書。4章に分かれ、第1章で宗教社会学(『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』)、第2章で政治観(『職業としての政治』『官僚制』)、第3章で方法論(『社会科学と社会政策にかかわる認識の「客観性」』他)、第4章で学問観(『職業としての学問』)を解説。
著者はアーレントやハイデガーなど様々な思想家の入門書を執筆している仲正昌樹氏。
上級編
山之内靖『マックス・ヴェーバー入門』
ニーチェとのヴェーバーの親縁性を明らかにしようとした異色の入門書。ヴェーバーについてすでに知識がある人のそのイメージを刷新できるかもしれない一冊。
入門となっているが「研究」の色合いも強く、入門にしてはやや難しいとの評判。ただし良書ではある。
著作
ここでは著作の翻訳の最新状況を見ていきたい。
中山元訳『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』
1902年ヴェルナー・ゾンバルトが『近代資本主義』を発表。これに刺激を受けて、資本主義の発生の背景について探究していたヴェーバーは、1904年『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』を執筆し始める。
内容は題名通り、プロテスタンティズムという禁欲を重んじる主義が、資本主義の誕生に大きく貢献したという考えを主張したもの。名著なので、とりわけ資本主義の成立に関して興味がある人は一読の価値あり。
翻訳は岩波文庫版(大塚久雄訳、1989年)もあるが、この日経BPクラシックス版の方が単行本ではあるが新訳である。訳者は、『純粋理性批判』(カント)や、『政治的なものの概念』(シュミット) など様々な思想書の翻訳を手掛けている中山元である。







