『ジョン・ウィック:チャプター2』考察|ガンフーで新たな臨場感へ|あらすじネタバレ感想・伝えたいこと解説|チャド・スタエルスキ

『ジョン・ウィック:チャプター2』考察|ガンフーで新たな臨場感へ|あらすじネタバレ感想・伝えたいこと解説|チャド・スタエルスキ

概要

 『ジョン・ウィック:チャプター2』は、2017年に公開されたアメリカのアクション映画。監督はチャド・スタエルスキ。脚本・原作はデレク・コルスタッド。次作は『ジョン・ウィック:パラベラム』。

 監督のチャド・スタエルスキは『マトリックス』でキアヌ・リーブスのスタントマンを務めた。

 前作から5日後、血の誓印を理由に再び殺し屋の仕事に戻されたジョンが、世界中の敵と戦いながら生き残る道を探る物語。

 アクション映画はほかに『アイアンマン』『TENET テネット』『ダークナイト』『ミッション:インポッシブル/ゴースト・プロトコル』がある。

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登場人物・キャスト

ジョン・ウィック(キアヌ・リーブス):引退した伝説的な殺し屋。引退するために貸し(誓印)を作ったダントニオから、半強制的に暗殺任務を与えられる。
(他の出演作:『コンスタンティン』『マトリックス レザレクションズ』)

サンティーノ・ダントニオ(リッカルド・スカマルチョ):イタリア系犯罪組織「カモッラ」の幹部。ジョンに姉ジアナの殺害を依頼する。任務が遂行されると邪魔になったジョンを殺害しようとする。

アレス(ルビー・ローズ):ダントニオのボディガード。唖者。ジョンの命を狙い付き纏う。

ウィンストン(イアン・マクシェーン):コンチネンタルの代表。コンチネンタル・ホテル・ニューヨークの支配人。ジョンとは親友の仲で、彼をできるだけ助けようとする。

シャロン(ランス・レディック):コンチネンタル・ホテル・ニューヨークの係員。ジョンの犬を個人的に預かる。

ジュリアス(フランコ・ネロ):コンチネンタル・ホテル・ローマの支配人。ジョンとは旧知の仲。

バワリー・キング(ローレンス・フィッシュバーン):地下犯罪情報組織の王。主席連合やコンチネンタルのどちらにも属さない独自の組織をもつ。メンバーはホームレスの身なりで活動している。
(他の出演作:『運び屋』『ボビー・フィッシャーを探して』)

アール(トビアス・シーガル):バワリーの手下。

オーレリオ(ジョン・レグイザモ):自動車修理工場のオーナー。ジョンと旧知の仲で、彼の車を修理する。
(他の出演作:『シェフ 三ツ星フードトラック始めました』)

あらすじ・ネタバレ・内容

 舞台は、前作『ジョン・ウィック』から5日後。ジョン・ウィックは愛車を取り戻すため、タラソフのアジトに向かう。反撃に合うも敵を殲滅して愛車を奪還し、タラソフに別れを告げてその場を去る。

 その後、イタリア系犯罪組織カモッラの幹部サンティーノ・ダントニオから依頼を受ける。引退をしていたジョンは断ろうとするも、誓印(借りがある証拠で頼み事を断れない)を見せられ協力を強制されそうになる。それでも断ると、亡き妻との想い出の家ごと爆破される。

 コンチネンタル・ホテルの代表ウィンストンに相談を持ちかけるが、誓印の効力は絶対だと告げられ、ダントニオの依頼を受けることにする。ダントニオの依頼の内容は、彼の実の姉ジアナの暗殺だった。ダントニオは、父の跡を継いで界各地の犯罪組織の頂点に立つ主席連合に就任しようとするジアナを殺害することで、自らが主席連合に就こうと目論んでいた。

 ローマを訪れたジョンは、主席連合への就任を準備していたジアナの元を訪れる。依頼主は弟のダントニオで誓印のために断れなかったと伝えると、ジアナは自ら手首を切り死を受け入れる。ジアナが殺害されたことに気づいた護衛者であるカシアンたちは、報復のためにジョンを殺害しようとする。逃げるジョンは地下墓地に降りると、口封じのために訪れたダントニオの部下アレスたちに襲撃される。

 アレスから逃げるもカシアンと戦闘になり、偶然コンチネンタル・ホテルに飛び込んでしまう。コンチネンタル・ホテル内では戦闘が禁止のため、一時的な停戦状態になり、再戦を誓ってローマを後にする。

 ジョンに報復されることを恐れたダントニオは、700万ドルの賞金をジョンに掛けたことをニューヨーク中の殺し屋に伝える。ダントニオを殺害するためにニューヨークを訪れたジョンは、数々の殺し屋に狙われるも返り討ちにしていく。そして地下鉄でカシアンと一騎討ちになり見事勝利を収める。

 疲弊したジョンは、主席連合に属さない地下犯罪組織の王バワリー・キングの元を訪ねる。交渉の結果、キングは一丁の拳銃と弾丸7発とダントニオの居場所を教える。

 ダントニオがいある美術館を襲撃するジョンは、数々の敵を薙ぎ倒す。そして側近のアレスも倒し、ダントニオは一人で逃亡する。彼はコンチネンタル・ホテル内では人を殺してはいけないという掟を利用するために、コンチネンタル・ホテルに逃げ込む。そこに現れたジョンは、ウィンストンの制止の甲斐なく、ダントニオを射殺する。

 自宅に戻ったジョンに、ウィンストンから公園に来いと連絡を受ける。ジョンは掟を破ったため主席連合によって命を狙われること、コンチネンタルのサービスを受けられなくなったことを告げられる。

 長年の友情のために、主席連合による追跡を一時間だけ遅らせると告げるウィンストン。ジョンは愛犬と共に雑踏の中を走り去る。

解説

『マトリックス』の重要人物が集結

 物語について語る前に、登場人物と世界観について簡単に触れておこう。

 まず注目すべきは、初登場で地下犯罪情報組織の王バアリー・キング。演じるのはローレンス・フィッシュバーンで、傑作SF『マトリックス』のモーフィアスを思い出す人も少なくないはずである。すると、キアヌ・リーブス演じるジョン・ウィックとバアリー・キングが並ぶだけで、『マトリックス』を懐かしく感じ嬉しくなる。『マトリックス』のときと立場も似通っていて、バアリー・キングの堂々とした態度がまた味がある。

 さらに監督のチャド・スタエルスキは、『マトリックス』でキアヌ・リーブスのスタントマンを務めた人物らしい。キアヌ・リーブス、ローレンス・フィッシュバーン、チャド・スタエルスキ。『マトリックス』に関わった三人がタッグを組み新たに製作したのが本作ということになる。

 したがって本作は『マトリックス』と日本の武術や香港映画のカンフーから強い影響を受けている。特に戦闘シーンは圧巻で、カンフーと銃撃(ガン)を合わせたガン・フーという新たな銃術を表現しているらしい。

前作から世界観が広がる

 最愛の妻ヘレンと出会い裏社会から足を洗った伝説の殺し屋ジョン・ウィック。彼はヘレンと共に平穏で幸せな生活を送っていた。しかし病気でヘレンを亡くし、ジョンは生きる意味を失ってしまう。ヘレンは亡くなる直前、ジョンを気遣って子犬を手配していた。ジョンはヘレンによって残された子犬と共に生き続けるうちに、わずかな希望を見出す。しかしジョンの愛車フォード・マスタング・BOSS429を狙った強盗に襲撃され、車だけでなく子犬の命まで奪われてしまう。

 これが前作『ジョン・ウィック』の冒頭である。彼はこの事件によって裏社会に復帰、復讐のために強盗犯ヨセフの父で元雇い主であるロシアンマフィア「タラソフファミリー」のボス、ヴィゴ・タラソフと対決する。犬の復讐のためなら自らの命も顧みず敵を殲滅していく様子は斬新だが、物語の構成はこれ以上も以下もない。絶望した伝説の殺し屋が犬のために本気を出し、敵がバッサバッサと死んでいく。ジョン・ウィックの過去の伝説を知る者は殺される前からビクビクしている始末で、犯人のヨセフの父タラソフは、息子のために抵抗はするものの、最初から半分諦めモードである。

 ジョン・ウィックの恐ろしさだけを磨き上げた前作から、世界観の深みを加えたのが本作である。殺し屋を統括する「主席連合」と「誓印」や「掟」という制度、ジョンが所属していた裏社会は、絶対的な力と厳格なルールによって統治された縦割り社会だった。彼はこの社会から引退したいにも関わらず、ダントニオの過去の借りを返すべく半強制的に殺し屋稼業に戻される。一度入ったら抜け出せられない世界。ジョンにとって最愛の妻ヘレンとの5年間は、奇跡的な時間だったのである。

考察・感想

ガンフーという新たなアクション表現

 見所は兎にも角にも戦闘シーンである。息もつかせぬ銃撃戦と緊迫した肉弾戦、リアルな血の描写など、観ていてハラハラしっぱなしになる。

 ところで、この銃撃戦はほかのアクション映画のそれとは一線を画する。肘を曲げ顔の前で斜めに銃を持つジョンの構えからして何かがおかしいわけだが、それは銃撃戦と格闘技をミックスしたことに由来する。一般的に、銃は距離のある対象を狙うときに使用され、近接戦ではメリットが薄れるためあまり使われない。だが本作のアクションはその矛盾を突く。つまり銃を使用して近接戦を行うのである。

 この新たなアクション表現、通称”ガンフー”(”ガン(銃)”+”カンフー”)は、観客に相当な緊迫感を与える。敵は突然ジョンの目の前に現れる。その敵を武術で組み伏せるかの如く、正確に射殺する。その敵を倒したと安堵した次の瞬間、右から左からまた敵が現れる。文字通り、息つく暇もない。そしてこの敵は、これでもかこれでもかと湧き出てくる。ジョン・ウィック一人で相当な数の人を射殺していて、敵がでてくる度にまだいるのと驚くわけだが、そんな感情なんてお構いなしに無限にでてくる。よって相当元気な状態で観ても、観終わるころにはめちゃくちゃ疲れることになる。

ゲーム的な視点で臨場感が新たな次元に

 ガンフーはアクションの形を変えただけではなく、その撮影方法まで変革している。その変化を一言で言えば、ゲーム的になったと言えるだろう。

 ガンフーにおける近接戦をより緊迫した形でみせるために、ジョンの姿をカメラは後ろから撮影する。敵が突然現れてきそうな場所をそのようなアングルで撮るため、左右から出てくる敵に反射的に反応して射殺する。これは画面越しに現れる敵を瞬時に撃つ銃撃ゲームと極めて似ている。アクション映画の戦闘シーンの臨場感は、ゲーム的な視点を手に入れることで飛躍的に向上したのである。

 とすると、もう視点を主人公に合わせてしまえばいいのではないか、という気になってくる。そのようなシーンが確か、2015年に公開されたアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の『レヴェナント:蘇えりし者』にもあったように記憶している。冒頭にあった短いながらも迫力のある戦闘シーンで、こちらに向かって飛んでくる弓矢にいちいちビクビクしていたのだから、『ジョン・ウィック』級の戦闘シーンをこの視点で映したらどうなってしまうのか。おそらく一時間と身が持たないが、ともあれ一度経験してみたいものである。『ジョン・ウィック:チャプター4』が2023年に公開されるようなので期待したい。

関連作品

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評価(批評・評論・レビュー)

ストリクトなアクションシーンとシュールでくすっと笑える世界観。シャレのわかる大人向けキアヌ・リーヴス映画の第二弾だが、こうしたコンセプトが観客の支持を受けたことにチャド・スタエルスキ監督らが自信を得たか、一作目よりも良い仕上がりである。 …… 全文

ーー movie.maeda-y.com(前田有一)

加筆中(おもしろい評論、または、載せてほしい論考などがありましたら、コメント欄にてお伝えください)

動画配信状況

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