概要
『華麗なるギャツビー』は、2013年に公開されたアメリカの恋愛ヒューマン映画。監督はバズ・ラーマン。主演はレオナルド・ディカプリオ。原作はF・スコット・フィッツジェラルドの小説『グレート・ギャツビー』(1925年)で、これまでに何度も映画化されている。
第66回カンヌ国際映画祭のオープニング作品として上映された。
アメリカの大富豪であるジェイ・ギャツビーの満たされぬ愛と孤独を、庶民であるニックの視点から描く物語。
恋愛映画はほかに『ラ・ラ・ランド』『GO』『容疑者Xの献身』などがある。
登場人物・キャスト
ジェイ・ギャツビー(レオナルド・ディカプリオ):大富豪。過去にデイジーと親しくしていた。
(他の出演作:『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』『インセプション』)
ニック・キャラウェイ(トビー・マグワイア):ギャツビーの隣人。庶民。デイジーは従妹。『華麗なるギャツビー』の執筆者。
(他の出演作:『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』)
デイジー・ブキャナン(キャリー・マリガン):ニックの従妹。夫はトム。過去にギャツビーと親しくしており、彼がいなくなったあとも待っていた。
ジョーダン・ベイカー(エリザベス・デビッキ):デイジーの友人のゴルフ選手。ギャツビーが激怒する現場に居合わせる。
(他の出演作:クリストファー・ノーラン監督『TENET テネット』)
トム・ブキャナン(ジョエル・エドガートン):ニックの夫。大富豪。不倫をしているが、デイジーへの愛もある。
マートル・ウィルソン(アイラ・フィッシャー):トムの不倫相手。ジョージは夫。
ジョージ・B・ウィルソン(ジェイソン・クラーク):「死の谷」で働く自動車修理工。妻のマートルがトムと浮気をしていることを知って腹を立てる。
ウォルター・パーキンス医師(ジャック・トンプソン):ニックを診察する医者。
名言
ニック:皆クズばかりだ。君だけ価値がある
あらすじ・ネタバレ・内容
舞台は第一次世界大戦後の1929年。ニック・キャラウェイは精神病の治療を受けていた。ニックは出会った中で最も偉大であったジェイ・ギャツビーの思い出話を始める。医師の勧めもあり、ニックはギャッツビーの話を文字にしたためる。
1922年夏、ニックはニューヨークのはずれに小さい家を借りる。その横には、毎夜パーティーを主宰するギャツビーが住む大豪邸があった。ニックは湖を挟んで向かいにいる、従妹デイジー・ブキャナンと、その夫トム、ブキャナン夫婦の友人でゴルファーのジョーダン・ベイカーと夕食を共にする。家に戻ると、ブキャナン家にある灯台の緑の光に手を伸ばすギャツビーの後ろ姿をみる。
トムはニックとともに、ゴミ集積所である「灰の谷」に向かう。そこでジョージが所有する自動車整備店に立ち寄り、妻でありトムの愛人マートル・ウィルソンにあう。
ある日、ギャツビーから招待状を受け取ったニックはパーティに出席すると、誰もギャツビーの顔を見たことがないということを知る。しかし、ニックとジョーダンはギャツビーと出会い、ジョーダンはギャツビーの秘密を知る。翌日、ランチに連れて行かれる途中に、ニックはギャツビーが裕福な生まれでオックスフォード出身、戦争の英雄であることを聞かされる。ギャツビーの目的は、戦争前に恋人であったデイジーともう一度再開することであり、そのためにニックにお茶会を開いてもらいたかった。
ニックの協力により、ギャツビーとデイジーは再開する。デイジーは二人で逃亡することを、ギャツビーはトムと別れて正式に結婚することを望む。ギャツビーの意を汲み、デイジーはトムに告げようとするも、トムが不穏な空気を感じ、プラザホテルに行くことを提案する。向かう途中、ジョージの自動車整備店に寄ると、妻が浮気している可能性があり近々引っ越すことを告げられる。
ホテルに着くと、トムに全てを打ち明ける。ギャツビーが経歴を偽り、酒の密造で稼いでることを非難するトム。ギャツビーはデイジーに、トムを愛したことがなかった、と言うように頼む。しかし、デイジーは愛したことがなかったとはいえないと言って、それを拒否する。デイジーとギャツビーは家に戻る途中で、トムと勘違いして飛び出してきたマートルを轢き殺してしまう。
トムはジョージに犯人はギャツビーだと告げる。しかし、そのとき運転していたのはデイジーだった。トムはニックに、自分の本当の過去を語り、どのように財をなしたか、デイジーとの出会いを教える。翌日、デイジーからの電話を待つギャツビー。呼び鈴が鳴り、それに気がついた瞬間、ジョージによって射殺され、ジョージも自殺する。葬式にはニック以外誰も来ず、罪は全てギャツビーになすり付けられる。
全てに嫌気が差したニックは、『The Great Gatsuby』という題をつけた回想録を書き終える。
解説
『グレート・ギャツビー』を原作とした、バズ・ラーマンによる煌びやかな演出
本作の監督は『ロミオ+ジュリエット』や『ムーラン・ルージュ』で有名なバズ・ラーマン。毎夜催されるド派手なパーティを煌びやかに飾る演出は、バズ・ラーマンの本領をこれでもかと見せつける場面だ。豪華で豪快などんちゃん騒ぎは、それだけでも観ていて楽しい気分になる。
アメリカの大富豪であるジェイ・ギャツビーは、アメリカンドリームの体現者。身一つで貧困からニューヨーク随一の大富豪になった成金である。そんな成金ギャッツビーが毎夜開くパーティーは、参加者の人数、身分、お金のかけ方、どれをとっても尋常ならざる規模である。金銭を湯水のように使うことで開催される豪華なパーティーに、金に釣られた成金たちとパーティー好きの特権階級が毎夜毎夜と集まってくる。主催者の正体は不明、目的も不明。それでも金持ちたちは騒ぎたくてこのパーティに参加する。楽しい!嬉しい!面白い!これがパーティー参加者の共通認識である。
だがこのパーティーはその見た目に反して、主催者のある目的のために開かれていた。昔の恋人、デイジーとの再会である。ギャッツビーは貧困から大富豪へと変貌できても、まったく心が満たされていない。彼は金を得るかわりに、愛を失ってしまったからだ。ギャツビー邸で毎晩のように開かれるパーティは、豪華で華やかであるのと同時に虚しさと暗さが漂っている。底に流れるこの暗さを覆い隠すために、過剰に煌びやかに演出されているのだ。
全てを見透かす「死の谷」の「神の目」——貧困と富豪
富豪の裏に貧困あり。ギャツビー邸のあるウェスト・エッグとニューヨークの間には「灰の谷」と呼ばれるゴミ集積所がある。物語はウェスト・エッグとニューヨーク、つまり富と貧困の往復で成り立つ。ギャツビーたちがニューヨークに行くときも、パーティに呼ばれた富豪たちがギャツビー邸に訪れるときも、「灰の谷」を通らざるを得ない。外科医によってそこに立てかけられた看板の「神の目」は、通り過ぎていく富豪たちの虚栄心も、そこで繰り広げられる不倫劇も、全てを見透かしている。それはまたギャツビーとて例外ではない。富と貧困の貧困地域の「灰の谷」で働く肉体労働者たちは、ギャツビーの過去でありありえた現在でもある。だが大富豪となったギャツビーは、いまや「灰の谷」に完璧に無頓着である。
だからこそ「死の谷」で事件が起こる。トムの不倫相手マートルは、夫のジョージにそのことがバレて窮地に陥る。そこに現れた黄色い高級車を、トムの車と勘違いして飛び出してしまい轢き殺されてしまう。これによって、ギャツビーの人生は大きく変わる。ギャツビーを死に追いやるのは、トムでもデイジーでもなくジョージである。因果応報。ギャツビーは貧困を無視することで、貧困によって殺されてしまうのだ。
考察・感想
「嘘」に覆われた偽りの社会
この物語は、判断のつかない「嘘」に覆われている。まず、語り手であるニックは精神病に罹っている。ニックの語るギャツビーの物語は「嘘」かもしれないのだ。もちろん、ニックはこの欺瞞にまみれたアメリカ社会の住人こそが、薄情で嘘つきであるというだろう。パーティに参加しておきながら、ギャツビーの葬式に現れない富豪たち。殺人の罪をなすりつけるデイジー。濡れ衣を着せるニック。誰も彼も嘘つきなのだ。ニックはいう。
ニック:皆クズばかりだ。君だけ価値がある
ギャツビーは愛に純粋である。それと同時に、彼も「嘘」をつく。ギャツビーは貧困の出でありながら、裕福な家庭に生まれたと嘘をつくし、オックスフォード出身と偽る。ギャツビーはニックに過去の自分史を雄弁に語ることで、過去を改変しようとしている。トムはそんなギャツビーをみて、ピンクの服を着ることを根拠にギャツビーの嘘を暴いていくのだが、同時にトムの欺瞞性も暴いている。トムは平等の精神を謳いながら、生まれと大学でしか人の価値を判断できないのだ。
ギャツビーが探し求めたもの
そのような社会だからギャツビーは自分の過去を変えてきた。「どうしてだ?もちろんやり直せるさ。過去はやり直せる」とギャツビーはいう。稼いだ金ですべても手に入れてきたギャツビーは、過去までも手に入れてきた。しかし本当に過去は変えられるのだろうか。否。デイジーとの愛し合いたいギャツビーは、傲慢にも過去に存在したデイジーのトムへの愛までも否定しようとする。5年間も空白になってしまったデイジーとの愛を確かめるためには、トムへの愛があってはならないのだ。しかしデイジーは「過去は変えられない」と言い「トムを愛していた」と告げる。
ギャツビーに負い目がなかったわけではない。ギャツビーはニックに「本当はずっと生い立ちを語りたかった」という。看板の「神の目」の前ではすべてが見透かされているように、ギャツビーの過去は作りものであることをニックは薄々気づいていた。ニックは特徴も才能もない極々平凡な人物であるが故に、すべてを俯瞰する「神の目」のようなフラットな視点を持っている。だから、物語を語ることのできるのだ。
ギャツビーの「過去は変えられる」という教えに、ニックは忠実だ。ギャツビーが自分の過去を装飾して語ったように、ニックはギャツビーとの思い出を格調高く綴る。ニックの語るギャツビーの物語は嘘かもしれない。でも、それでいいのだ。嘘と虚栄心にまみれた社会で、ギャツビーだけが純粋だった。そのような社会で本物を探したギャツビーは、まさに「華麗な(Great)」人物なのである。
関連作品
評価(批評・評論・レビュー)
僕が一番大好きな男性俳優は御存知の通りユアン・マクレガーであるが、彼が出ているその中でも好きな作品はティム・バートン監督の「ビッグ・フィッシュ」とバズ・ラーマン監督の「ムーラン・ルージュ」である。特に「ムーラン……… 全文
ーー hatenablog.com(小覇王(スサーデス))
バズ・ラーマン監督作品。主演は『ロミオ+ジュリエット』でもコンビを組んだレオナルド・ディカプリオ。原作はスコット・フィッツジェラルドの『グレート・ギャツビー』であり、この作品は五度目の映画化。有名なのは1974年のレッドフォード主演のものだが、それですら一般的にはあまり評判がよくないらしい。さて、今回のラーマ……… 全文
ーー fc2.com(日々是口実)
加筆中(おもしろい評論、または、載せてほしい論考などがありましたら、コメント欄にてお伝えください)
動画配信状況
『華麗なるギャツビー』配信状況比較
配信サービス | 配信状況 | 無料期間 | 月額料金 |
---|---|---|---|
U-NEXT | ◎ | 31日間 | 2,189円 |
Amazon Prime | ◎ | 30日間 | 500円 |
TSUTAYA DISCAS | ◎ | 30日間 | 2,052円 |
Hulu | ✖️ | 2週間 | 1,026円 |
dTV | ✖️ | 31日間 | 550円 |
FOD | ✖️ | ✖️ | 976円 |
ABEMAプレミアム | ✖️ | 2週間 | 960円 |
Netflix | ✖️ | ✖️ | 1,440円 |
クランクイン!ビデオ | ☆ | 14日間 | 990円 |
mieru-TV | ☆ | 1ヶ月間 | 990円 |
dアニメストア | ✖️ | 31日間 | 550円 |
日本には有力な動画配信サービスはいくつもある。NetflixやAmazon Prime、U-NEXT、Disney+は配信数の多さやオリジナル作品のクオリリティーの高さが魅力的で、映画・アニメ・ドラマファンから高い人気を博している。それらの配信サービス以外にも、Hulu、 dTV、クランクイン!ビデオなど代償様々なサービスが展開されていて、それぞれにメリットやデメリットがある。また配信サービス以外には宅配レンタルサービスもあり、その代表格に業界トップの取り扱い数を誇るTSUTAYA DISCASがある。
AmazonプライムビデオはAmazonが運営する定額制の動画配信サービス。公開して間もない最新作を数多く配信している他、豊富な特典、月額500円という安さが売りである。無料登録はこちら。
関連記事:Amazonプライムビデオとは?料金・サービス内容・注意点を解説
関連記事:【2023年最新版】Amazonプライムビデオの人気おすすめ配信映画(ドラマ・ライブ)
U-NEXTは日本企業が運営する定額制の動画配信サービス。業界トップクラスの見放題配信数で、映画ファンが愛用している。また毎月ポイントが付与されたり、雑誌が読み放題だったりとちょっと変わった特典も魅力。無料登録はこちら。
関連記事:U-NEXT(ユーネクスト)とは?料金・サービス内容・注意点を解説
関連記事:【2023年最新版】U-NEXTの人気おすすめ配信映画(ドラマ・ドキュメンタリー)
TSUTAYA DISCASは、持分法適用会社のカルチュア・エンタテインメントが運営する宅配DVD/CDレンタルサービス。取り扱っている作品数はU-NEXTよりも多く、宅配レンタルならではの独自システムでサービスを提供している。無料登録はこちら(TSUTAYA DISCAS)。
関連記事:TSUTAYA DISCASとは?サービス内容と三つのプランを解説
関連記事:【2023年最新版】TSUTAYA DISCASの人気おすすめ作品(映画、アニメ、ドラマ、独占)
またほとんどの動画配信サービスが「無料お試し期間」を設けている。その期間を利用すると無料で作品を視聴することができる。期間中の解約も可能である。
本作を動画配信サービスで無料視聴する方法は下記の記事にまとめた。