概要
『レオン』は、1994年に公開されたのフランス・アメリカのアクションヒューマン映画。監督はリュック・ベッソン。出演はジャン・レノ、ナタリー・ポートマン、ゲイリー・オールドマン。
孤独な殺し屋レオンが、家族を殺された少女マチルダと出会い共同生活をしながら、復讐を目指していく物語。
監督リュック・ベッソンはほかに『LUCY / ルーシー』などが有名。
アクション映画はほかに『マッドマックス 怒りのデス・ロード』『TENET テネット』『ジョーカー』などがある。
登場人物・キャスト
レオン・モンタナ(ジャン・レノ):イタリア系移民の殺し屋。トニーに依頼をもらい殺しを行う。かなりの貯金がある。観葉植物やミルクを好む。字が読めない。
マチルダ・ランドー(ナタリー・ポートマン):12歳の少女。レオンのアパートの同じ階に住む。精神年齢が高く、非常事態でも冷静な対処ができる。弟のマイケルを殺害された復讐のために、スタンスフィールドの命を狙う。
ノーマン・スタンスフィールド(ゲイリー・オールドマン):麻薬取締局の刑事。実は麻薬密売組織を裏で牛耳る。残忍な性格で、薬物の常習犯。敵対する組織を潰すために、トニーを仲介してレオンに殺しの依頼をしていた。(出演作:クリストファー・ノーラン監督『バットマン ビギンズ』『ダークナイト』『ダークナイト ライジング』、『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』『ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団』『ハリー・ポッターと死の秘宝PART2』)
トニー(ダニー・アイエロ):イタリアンマフィアのボス。レストランの店主。レオンを育て殺し屋に仕立て上げた。レオンに殺しの依頼をしている。実はスタンスフィールドの配下
ジョセフ・ランドー(マイケル・バダルコ):マチルダの父親。麻薬の運び屋。マチルダを毛嫌いしている。麻薬をくすねてスタンスフィールドに襲われる。
マージ・ランドー(エレン・グリーン):マチルダの義母。スタンスフィールドに射殺される。
名言
マチルダ:私が欲しいのは、愛か死だ
レオン:君は人生の素晴らしさを教えてくれた。幸せになりたい
あらすじ・ネタバレ
舞台はニューヨーク。プロの殺し屋でイタリア系移民のレオンは、レストランの店主トニーの依頼を受け殺しの日々を送っていた。ある日、仕事から帰ると、二つ隣に住む娘マチルダが廊下に出ていた。怪我をしている彼女に声をかけると、転んだと返される。だが、マチルダは実父ジョセフと異母姉のジョアンから虐待を受けていた。継母のマージは見て見ぬふりをしていて、弟マイケルだけが生き甲斐だった。
翌日、麻薬組織のスタンスフィールドたちがジョセフを訪れ、消えた麻薬の横領を疑う。返す気のないジョセフはシラを切り、銃撃戦となってマチルダ以外の家族は皆殺しにされる。偶然買い物に出かけていたマチルダは、襲撃に動揺しながらも咄嗟にレオンの家に向かい、レオンは彼女を助ける。
マチルダは弟の復讐のために、レオンに殺しの技術を教えてくれと頼む。最初はこの頼みを拒否するが、熱意に負けて技術を教えることにする。その代わりにマチルダは、字の読めないレオンに読み書きを教えるようになる。
ある日、マチルダは偶然スタンスフィールドを発見し後をつけて、彼が麻薬取締局の捜査官であると知る。レオンが殺しの依頼を断るので、マチルダは単身で麻薬取締局に侵入する。しかし後をつけていたことがスタンスフィールドにバレていて、何もできずに捕まってしまう。
その頃、レオンはマチルダのために、マイケル殺害の共犯である捜査官を殺害に向かっていた。自宅に戻りマチルダの置き手紙を読むと、そのまま麻薬取締局へと向かい、捜査官を二人殺害してマチルダを救出する。
スタンスフィールドは警察官を殺害したのが、トニーの知り合いであるとふみ、トニーが経営するレストランに向かう。そこでレオンの犯行を確信すると、翌日、レオンのアパートに突入する。買い物に出かけていたマチルダは、自宅に戻る途中で警察官に捕まってしまう。マチルダが警官に部屋に入る際の嘘の合図を教えたおかげで、レオンは警察官の突入を察知し逆襲に成功する。
一時間後にトニーの店で落ち合うことを約束して、排気口からマチルダを脱出させる。レオンは倒れた警官の装備を奪い、負傷者に扮して運ばれる。しかし偽装がスタンスフィールドに見破られ、ホテルから出る一歩手前で彼に撃たれる。死の直前、レオンは手榴弾の安全ピンをスタンスフィールドに渡し、二人とも爆死する。
マチルダはトニーの店に向かい、レオンの死を知る。殺し屋になると申し出るが、トニーは聞き入れず、レオンに頼まれていたように遺産の一部を彼女に渡す。マチルダは学校で校長に事情を話し、レオンから貰った観葉植物を学校の庭に植えるのだった。
解説
少女と中年男性の物語——『ロリータ』との違い
中年男性と少女の組み合わせは、ナブコフの『ロリータ』を代表に一つの定型になっている。実際、マチルダ役で一躍注目を集めたナタリー・ポートマンは、映画版『ロリータ』(1997年)のロリータ役でオファーがあったようである。ロリータ的なイメージがつくのを嫌ったナタリーはオファーを断り、その後に『スターウォーズ』シリーズのパドメ・アミダラ役で人気を不動のものにした。
ほかに『1917 命をかけた伝令』で有名なサム・メンデス監督の第一作『アメリカン・ビューティー』(1999年)でも、少女と中年男性の性的な関係が描かれる。『ロリータ』と『アメリカン・ビューティー』では性的関係の有無に違いはあるにせよ、少女が中年男性を性的に挑発し、中年男性が少女に性的視線を注ぐのは変わりない。
その点、本作は微妙に状況が異なる。マチルダは初体験の相手になってとレオンを誘いはするが、それを断るレオンがマチルダを性的にみているかは結構怪しい。レオンはマチルダと出会ってから、よく笑うようになり、ベッドでイビキをかいて寝れるようになった。
レオン:君は人生の素晴らしさを教えてくれた。幸せになりたい
レオンがマチルダの側にいたいのは、彼女が性的に魅力があるからではなく、彼女が「人生の素晴らしさを教えてくれ」るからである。過去に愛した女性を失いその父を殺してしまってその日から、殺しの依頼をただこなしていくだけの不幸な人生を歩んできたレオンは、いま初めて「幸せになりたい」と望んでいる。レオンの最大の望みは、性的関係ではなく、彼女と共に生きることである。
そうすると、マチルダのレオンに対する誘惑もそこまで性的でないような気もする。確かに、彼女の挑発的な身なりや言動、「レオン、あなたに恋してるみたい。初めての恋よ」と初体験に誘うあたりは、性的誘惑といっても過言ではない。だが、彼女はそこまで性関係に固執しない。レオンが断ればそこで終わりになり、彼の横で反対の方向を向いて寝るだけである。
考察・感想
中年の衣を被った少年と、ませた少女
マチルダがレオンに惹かれているのは間違いない。だが彼女は、弟マイケルの復讐も忘れることができない。彼女はレオンに愛を求めるのと同等の頻度で、マイケルの復讐のためにスタンスフィールドの暗殺を依頼する。
マチルダ:私が欲しいのは、愛か死だ
この言葉の通り、彼女が求めるのはレオンの「愛」か、スタンスフィールドの「死」しかない。
マチルダはしかし、レオンに「人生の素晴らしさを教え」ることにも喜びを得ている。半目を開けて椅子で眠ることが習慣付いたレオンをベッドに寝かせ靴を脱がせる。老人介護のようなこの行動は、マチルダにとって、そしてもしかするとレオンにとっても、おままごとの一種である。マチルダは子供の衣服を着せ替え寝かしつけるようにレオンに接し、レオンはそのことで次第に癒されていく。
このレオンに対する態度は、核心をついている。「俺は逆だ。年は取ったが、大人にならないといけない」と言うように、レオンは未だに少年のままなのである。この意味で、この作品には性的なものがない。中年の衣を被った少年と、ませた少女がいるだけなのだ。
根無草が根を下ろした大地が生きる場所となる
レオンの子供性は、例えば、彼の愛好するミルクにも見られる。レオンはこの年になっても毎日二本のミルクを飲み、トニーの前ですらミルクを要求する。ミルクが性的なものを表象しているとすると、マチルダが最初にミルクを拒むのは、性的な関係から外れることを意味しているのかもしれない。
一方で、レオンはマチルダが買ってきたミルクを飲み、そして二度も口から吹きこぼす。この露骨な演出は、レオンの男性性の無さを示すと同時に、このような言い方が正しいのかは分からないが、レオンの少女性を示している。青年/少女としたら少女、能動/受動としたら受動の性質を、マチルダではなくレオンが有している。レオンの少女性は至る所にある。マチルダを喜ばすために咄嗟にだしたブタの演出。マチルダの誘いで始めたコスプレ遊び。水のかけ合いっこ。レオンはどれもマチルダを喜ばすためではなく、自らが楽しむためにやっているのである。
レオンには殺しのさいに、欠かすことのできない必需品がある。上着、サングラス、帽子。殺しに必要のないこれらの装備は、彼が殺人者に変身するための道具である。だからこれらの装備を外すとそこに見え隠れするのは、変身前の子供のような無垢な精神である。
レオンが観葉植物を大事に育てるのは、大地に根を張らないその植物が自分に似ているからである。根無草としての自分。常に浮遊しつづけどこにも居場所がない自分。そのように自らを規定するレオンは、それでも観葉植物の生き生きとした姿に励まされる。そのために毎日、陽のあたる窓際におき、銃弾を掻い潜るという死の危険を犯してまで観葉植物を確保する。排気口から脱出するマチルダに、観葉植物を持たせる始末である。
でもだからこそマチルダは、この観葉植物を大事に扱う。スタンスフィールドの復讐を果たし、代わりにレオンを失った彼女は、学校を訪れ元の生活に戻ることを決意する。そして根無草であるところにレオンが共感を覚えていた観葉植物を、学校の庭に植える。ついに観葉植物は大地を見つけたのだ。マチルダはこの観葉植物の根を大地に張らせて共に生きていくことで、レオンの言葉「君は人生の素晴らしさを教えてくれた。幸せになりたい。ベッドで寝て、根を張りたい。また1人になることなんてないさ」を叶えるのである。
P.S. レオンが撃たれて倒れるシーンと、マチルダを脱出させた後に叫ぶレオンを下から撮ってるシーンが素晴らしかった。あとスタンスフィールドに扮するゲイリー・オールドマンの演技が大変良かった。
関連作品
評価(批評・評論・レビュー)
映画はその時代の傾向や思想、社会を映し出す鏡とも言うことができます。例えば、ナチスドイツ政権下で作られたレニ・リーフェンシュタール監督の『意志の勝利』という作品は、映画技巧的にも高く評価されている作品ですが、当時のナチス政権の …… 全文
ーー club-typhoon.com(ナガ)
加筆中(おもしろい評論、または、載せてほしい論考などがありましたら、コメント欄にてお伝えください)
動画配信状況
『レオン』配信状況比較
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