概要
『オーシャンズ11』は、2001年に公開されたアメリカのサスペンス推理映画。ケイパー映画。監督はスティーブン・ソダーバーグ。主演はジョージ・クルーニー、ブラッド・ピット。
続編は『オーシャンズ12』(2005年)と『オーシャンズ13』(2007年)で、スピンオフは『オーシャンズ8』。
ルイス・マイルストン監督の『オーシャンと十一人の仲間』(1960年)のリメイクである。
強盗のために全米中のプロフェッショナルを勧誘し結成されたダニー・オーシャン率いる11人のチームが、テリーが経営するカジノの金を強奪する計画をたてる物語。
サスペンス推理映画はほかに『ゴーン・ガール』『シャーロック・ホームズ シャドウ ゲーム』が、ケイパー映画は『ザ・ウォーク』がある。
登場人物・キャスト
・味方
ダニエル・オーシャン(ジョージ・クルーニー):有名な詐欺師。愛称はダニー。「インカの婚礼用仮面」を盗むのに失敗し、投獄中に妻のテスに見限られる。仲間を集めてテスを奪ったベネディクトに復讐しようとする。
(他の出演作:『マイレージ、マイライフ』、『アルゴ』(制作))
ラスティ・ライアン(ブラッド・ピット):若手の詐欺師。ダニーの右腕であり同志。
(他の出演作:『ジョー・ブラックをよろしく』、デヴィッド・フィンチャー監督『ファイト・クラブ』、『セブン』)
フランク・キャットン(バーニー・マック):カジノのディーラー。
(他の出演作:『トランスフォーマー』)
ルーベン・ティシュコフ(エリオット・グールド):カジノホテル経営者。ベネディクトにホテルを潰されているためダニーに協力する。
バシャー・ター(ドン・チードル):爆発物の専門家。作戦中は電磁波発生器「ピンチ」で一帯を停電させる。
(他の出演作:『天使のくれた時間』)
モロイ兄弟(ケイシー・アフレック、スコット・カーン):双子。運転、変装、潜入が得意。
イエン(シャオボー・チン):曲芸師。小柄、柔軟で運動神経が高い。中国人。
リヴィングストン・デル(エディ・ジェイミソン):電気・通信・機械の専門家。
ソール・ブルーム(カール・ライナー):年寄りの天才詐欺師。武器商人に扮してベネディクトと交渉する。
ライナス・コールドウェル(マット・デイモン):伝説的な泥棒の息子。天才的なスリ師。若くおっちょこちょい。
(他の出演作:クリストファー・ノーラン監督『インターステラー』)
・その他
テリー・ベネディクト(アンディ・ガルシア):巨大カジノのオーナー。仕事人。テスの恋人。
(他の出演作:『アンタッチャブル』『運び屋』)
テス(ジュリア・ロバーツ):ベラージオ美術館の館長。ベネディクトの恋人。オーシャンの元恋人。
あらすじ・ネタバレ・内容
プロの詐欺師であるダニー・オーシャンは、「インカの婚礼用仮面」の窃盗に失敗し投獄されていた。服役中も次の強盗の計画を練るダニーは、四年の服役を終えて仮出所するとすぐさま次の強奪計画を進める。
仮出所中は州の移動が禁止されているにも拘わらず、ダニーはロサンゼルスにいるラスティとコンタクトを取る。ラスティにベネディクトが経営するカジノの金を強奪するという計画を打ち明けて、それのために必要な10人の個性的な仲間を集める。
元カジノ経営者であるルーベンの協力をスポンサーとして得ると、爆発物の扱いに長けたバジャー、ディーラーのフランク、車に詳しい双子の兄弟ヴァージルとターク、身体能力が高いイエン、電気に詳しいリヴィングストン、詐欺師のソール、そして若いスリ師のライナスを仲間に引き入れ、11人のチームを結成する。
彼らが狙うのは、ラスベガスの3大カジノの金が集まる巨大金庫。その金を盗むために、カジノのセキュリティ、警備の動き、電網、通信の詳細なデータを集め、綿密な計画を立てる。
表向きこの計画はカジノの金が目的であったが、ダニーには他にも欲しいものがあった。それが服役中に疎遠となり現在は離婚協議中のテスである。テスは現在、窃盗に入るカジノの経営者であるベネディクトの恋人になっていた。
邪魔者はすべて排除する冷淡なベネディクトを打ちまかし、テスを取り戻そうと画策するダニー。ダニーの利己的な目的を知ったラスティは、計画の中止を提案しダニーと口論するも、結局彼の言い分を聞きいれ計画を結構する。
決行当日、カジノのカメラをハッキングし、計画通り事を進める。ダニーが不審な動きでベネディクトの部下に捕まる一方、仲間たちも続々とカジノ内に侵入する。イエンは売上金を入れるケースに身を隠し、金庫に潜入する。しかしその金庫から出るためには暗証番号を必要とする3つの扉を抜ける必要があった。
ダニーたちは停電を起こすことでセキュリティを麻痺させる。その隙をついてダニーとライナスも金庫にたどり着き、イエンが爆発で最後の扉を破壊する。イエンは金をケースに入れていたため、あとは逃げるだけとなった。
ベネディクトは異変に気づき、すぐさま金庫に警備員を向かわせる。そこへの通路は一つしかないのに、金庫にダニーたちはいなかった。実は、警備員は仲間達の変装で、まんまと金庫から1億5000万ドルもの大金を持ち去ったのである。
金が盗まれたことに激怒したベネディクトは、ダニーと対面し盗んだのはお前かと詰問する。ダニーはテスを諦めるなら金を返すと答えると、ベネディクトはその要求をのむ。その様子を監視カメラで目撃していたテスはベネディクトに失望し、警官に連れていかれるダニーと寄りを戻そうと決心する。
ダニーが出所すると外に相棒のラスティと元妻のテスがいた。盗んだ金で買った車に乗り三人はどこかへと向かうのだった。
解説
集められたプロフェッショナルたちのキャラが立つ
ジョージ・クルーニーとブラッド・ピットを中心とした豪華俳優陣による豪快で贅沢な強奪劇。個性豊かな11人の窃盗グループ「オーシャンズ」とカジノ経営者のベネディクトとの対決に、ワクワクとドキドキが止まらない。
ダニーとラスティが集めた仲間は11人。どれもキャラが立ち仕事が絶妙に配分されているので、一人一人のキャラがボヤけるという心配は全く起こらない。ツートップであるダニーとラスティは、中年と若者、渋みと威勢で好対照を成している。性格と強盗の目的も真逆で、ダニーはテスと取り返したいという私怨に燃え、ラスティは金目当てで計算高い。ベネディクトが経営するカジノを狙った強盗の真の目的がテスを取り戻すというダニーの利己心によるものであると見抜いたラスティが、ダニーにすぐさま計画の断念を迫るシーンも綺麗な対照になっている。渋くて深みのありそうなオッチャンが感情的で、ヤンチャで常に何かを食べている忙しい若者が慎重で丁寧というギャップが、今作の魅力の一つになっている。
この二人を中心に選ばれるメンバーも個性豊かで楽しい。爆発物の専門家や曲芸師、資本家から天才詐欺師まで、それぞれの分野のプロフェッショナルが集まり計画を練るシーンは、作戦成功の瞬間やトリックの派手さとは違う快楽がある。ある作戦のためにプロフェッショナルが各所から集まり、仕事が終わればあっさりと解散するのはこの手の映画の魅力である(この仕事観は『ワンピース』と真逆である)。夜中、ホテル前にある噴水を背景に、言葉を交わさず解散するところ名シーンだ。仕事(金)にために繋がっているからこそ、ドライでありながら信頼できるのだ(同じ良さが『インセプション』にもある)。
人間臭く汗が滴る
プロフェッショナルが集まり、計画を綿密に立てているにもかかわらず、作戦は全く完璧には進まない。一つ一つの作戦が綱渡りであって、それも手のひらにペンで書いたメモが汗で消えてしまうとか、置いてかれたライナスが勝手な行動に出るとかで窮地に陥る。つまりは大掛かりな作戦とは思えぬおっちょこちょいな失敗が目立つのだ。
この人間らしさとギャップがドキドキと面白さにつながる。汗の描写が多いのも注目だ。スマートではない人間的な彼らの行動は、観客の手にも汗を滲ませるだろう。
一番かっこいいのは、ダニーとラスティがエレベータで並ぶ有名なシーンである。真正面から撮られるこのシーンのやり取りと立ち振る舞いは、作品全体の特徴を見事に表現している。
考察・感想
ホモソーシャルの独特な面白さが上乗せされている
作戦の奇抜さや怒涛のミッションと並行して、テスを取り戻すダニーのプロットが進むことで、単線的なトリック映画に少しの深みが加わる。他のメンバーにとっては金が最重要なのであるが、ダニーにとって重要なのは金ではなく、ベネディクトと違い、正しくテスなのだ。
本作の面白さはトリックの意外さや仲間との掛け合い、ユーモアや性格のギャップによって醸し出されているのだが、もう一つ大事な要素(あるいは欠落)がある。女性が欠けているのだ。
オーシャンズ11のメンバーは多種多様で個性豊か、人種や年齢、格好良さまで様々である。だが、なぜか女性がいない。女性が重要な役割を担う『ミニミニ大作戦』(2003年)と違いメンバーに女性がいないどころか、作中ででてくる女性は一瞬映るカジノの客を除けば、テスのみである。さすがに変だと気がついたのか、2005年の『オーシャンズ12』では12番目に女性のテスが加わることになる。
女性がいないだけではない、女性であるテスの扱われかたが酷いのだ。金と天秤にかけられるテスは、男たちの戦いの景品だとでも言わんばかりである。金を選んだベネディクトを監視カメラで目撃したテスは、間違っていたとダニーに走り寄るが、ベネディクトの好感度が下がっただけでダニーに戻る必要は全く無い。
そう、この極上の面白さは、女性を取り合う男性だけの社会の、あの楽しさを体現していたのである。レヴィ=ストロースは、女性の交換を親族構造の根本的機能であると主張したが、物のように女性が扱われているのはまさにといった感じである(ある集団が女性を贈与することで互いに親密になるという説のそのままでは無いが、物にようにみなされている点が似ている)。
もちろん、だからこの作品は見る価値がない、と言うことにはならない。だが、男性の単一社会(ホモソーシャル)の楽しさが上乗せされているということは、念頭にいれておいてもいいだろう。
関連作品
評価(批評・評論・レビュー)
『オーシャンズ11』とは何だったのか? という疑問を長年持っていました。 私の心の中には「よくよく考えるとあの映画って何だったんだろうな?」と思う作品が、約170本ほど、行き場をなくしたぶざまな魂のように彷徨っている。 …… 全文
ーー hukadume7272.hatenablog.com(ふかづめ)
加筆中(おもしろい評論、または、載せてほしい論考などがありましたら、コメント欄にてお伝えください)
動画配信状況
『オーシャンズ11』配信状況比較
配信サービス | 配信状況 | 無料期間 | 月額料金 |
---|---|---|---|
U-NEXT | ◎ | 31日間 | 2,189円 |
Amazon Prime | ◎ | 30日間 | 500円 |
TSUTAYA DISCAS | ◎ | 30日間 | 2,052円 |
Hulu | ○ | 2週間 | 1,026円 |
dTV | ✖️ | 31日間 | 550円 |
FOD | ✖️ | ✖️ | 976円 |
ABEMAプレミアム | ✖️ | 2週間 | 960円 |
Netflix | ○ | ✖️ | 1,440円 |
クランクイン!ビデオ | ☆ | 14日間 | 990円 |
mieru-TV | ☆ | 1ヶ月間 | 990円 |
dアニメストア | ✖️ | 31日間 | 550円 |
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