『オーシャンズ12』感想|あらすじ解説|内容考察|愛すべき盗人たち

『オーシャンズ12』感想|あらすじ解説|内容考察|愛すべき盗人たち

概要

 『オーシャンズ12』は2004年のアメリカ映画。監督はスティーブン・ソダーバーグ。前作は『オーシャンズ11』。続編は『オーシャンズ13』。オーシャンを含めた12人の仲間たちが怪盗ナイト・フォックスと「ファベルジェの卵」を狙って対決する。メンバーはオーシャンズ11にテスを加えた12人。

 関連作品の感想はこちら。 『オーシャンズ11』『オーシャンズ13』『オーシャンズ8』

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登場人物

・味方
ダニエル・オーシャン(ジョージ・クルーニー):有名な詐欺師。ベネディクトに金を請求されて「ファベルジェの卵」を奪う計画をたてる。

ラスティ・ライアン(ブラッド・ピット):若手の詐欺師。ホテル経営者だが成功していない。

ライナス・コールドウェル(マット・デイモン):伝説的な泥棒の息子。天才的なスリ師。ダニエルやラスティと同じ土俵に立ちたい。

ソール・ブルーム(カール・ライナー):年寄りの天才詐欺師。当初は歳のため作戦参加を拒否。だがダニエルのことが気にかかり、危機的な状況で仲間を救う。

ルーベン・ティシュコフ(エリオット・グールド):カジノホテル経営者。老人。

フランク・キャットン(バーニー・マック):カジノのディーラー。

バシャー・ター(ドン・チードル):爆発物の専門家。

モロイ兄弟(ケイシー・アフレック、スコット・カーン):双子。運転、変装、潜入が得意。

イエン(シャオボー・チン):曲芸師。運動神経が抜群。中国人。

リヴィングストン・デル(エディ・ジェイミソン):電気・通信・機械の専門家。

テス(ジュリア・ロバーツ):ダニーの妻。

・他
フランソワ・トゥルアー(ヴァンサン・カッセル):怪盗「ナイト・フォックス」。フランス人の大富豪。

イザベル・ラヒリ(キャサリン・ゼタ=ジョーンズ):警察官。ラスティの元恋人。

あらすじ

 前作から数年後。オーシャンズ11のメンバーはベネディクトから盗んだ金で裕福な暮らしをしていた。ダニーとテス再婚をして普通の幸福な生活を送っていた。またラスティはホテル経営をしてみたもののうまくはいっていなかった。

 ある日、全てのメンバーの前にベネディクトが現れ、盗んだ金を利子をつけて返金するよう要求する。数年でメンバーが使った総額は9700万ドルであり、再び盗みを働くことを決意する。前回のカジノ泥棒でアメリカでの仕事は難しくなったたため、ヨーロッパに移動し情報屋のマツイから仕事をもらう。

 盗みに入った邸宅の金庫には目的のものの代わりに、黒い狐の置物と音声ファイルが置いてあった。それは怪盗「ナイト・フォックス」からダニーらへの挑戦状だった。実はナイト・フォックスがベネディクトにダニーたちの情報を流していたのである。

 邸宅に訪れた警察官でラスティの元恋人のイザベルは、ラスティらの犯行と見抜く。捜査を進展させたイザベルはラスティに接触し携帯を盗み包囲網を狭めていく。一方でダニーらはナイト・フォックスが大泥棒ギャスパー・ルマークの弟子であり、正体はフランソワであることを突き止めて、彼の邸宅から絵画を盗み出す。

 フランソワのダニーらへの挑戦の理由は、師のルマークがあるときダニーらを「世界一の泥棒」と認めてプライドを傷つけられたからだった。そこでフランソワは世界一を決めるために、「ファベルジェの卵」をどちらが盗めるかの勝負を挑む。しかしダニーらの作戦は携帯を盗んだイザベルに筒抜けだった。

 美術館に展示された「ファベルジェの卵」を盗む計画をたて実行に移すも、数人を残して全員捕まってしまう。逮捕されなかったライナスらは、テスに妊娠中のジュリア・ロバーツを演じてもらうことで、卵を盗む計画を経てる。ローマに訪れたテスは反対するも強行することに。だが本物のブルース・ウィリスが現れ計画を遂行でき全員逮捕される。

 モリー率いるFBIの一団がカジノ強盗の件でダニーらを連行しにくる。だがモリーはライナスの母で助けに来たのだった。イザベルは捜査上で不正をしていて警察に戻ることができない。ラスティはそのことを指摘したあとに、会わせたい人物がいるとイザベルに告げる。

 ダニーとテスはフランソワのもとを訪れる。勝利を確信したフランソワは卵を盗んだ手口を披露する。しかしダニーはルマークと旧知の中であり、フランソワが勝負をふっかけてくることを知っていた。ダニーらは卵が美術館に展示される前の移送中に盗んでおり、フランソワが盗んだのは偽物だったのだ。フランソワは敗北を認め、ベネディクトに支払いをすることを約束する。一方でイザベルはラスティに連れられて、亡くなったと信じていた父に会う。父は大泥棒のルマークであった。夕暮れのなか二人は抱擁しお互いを確かめ合うのだった。

 ルーベンはベネディクトに二億ドルの小切手を渡し、ダニーらはベネディクトの金を盗むことはないと断言する。しかし背後で清掃員に変装したフランソワが聞き耳をたていたのであった。

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解説

軽妙な会話やテンポは健在

 『オーシャンズ12』(2004)は大ヒット映画『オーシャンズ11』(2001)の続編で、映画の中の時間も3年くらい経過している。ベネディクトのカジノを強盗したダニーらは、奪った金で充実した生活を送っていたのだがベネディクトが取り立てにきたというのが物語の起点にある。

 本作も『オーシャンズ11』で炸裂した笑いのツボは抑えていて、軽妙な会話や、間のあきかた、テンポなどいちいち笑える。前作では子供扱いされていたライナスは、今回こそはとラスティに頼み交渉の現場に立ち会うも、相変わらず大人のからかいにあい自信を失う。ライナスのこのような扱いも2作目であるので観客は安心して面白がれる。気づいたら我々もダニーやラスティのように、親あるいは兄貴の視点でライナスを眺めているのである。

 盗みなどの裏稼業にかかわる人は、仲間の情報を売らないというのが暗黙の決まりごとになっているのだが、フランソワは自己顕示欲にかられて禁忌を犯しベネディクトにダニーらの情報を売る。ベネディクトに迫られようが、とんずらこけばいいのではないかと疑問に思うのだが、ダニーらは利子付きで金を返却することで意見は一致する。ベネディクトから奪うのは難しそうだし、そもそももう一度アメリカで犯罪を犯すのは危険だということで、舞台はヨーロッパに移る。

 後々明らかになるのは、一連の発端になるフランソワの動機が自分が一番だと認めて欲しいというショボい自己顕示欲だということである。『オーシャンズ11』では、妻のテスがベネディクトと付き合っているという事実が、ダニーの強盗の動機になっているわけだが、今回はその位置にフランソワの自己顕示欲がきているということになる。犯行と動機が二重になっているのは前作同様。だが、動機がショボいのとダニーらの動機ではないところは、面白みを削いでるかもしれない。

考察・感想

それでも泥棒稼業はやめられない

 実在の人物がでてきたり、実在の人物を演じたりするところも面白い。ブルース・ウィリス役のブルース・ウィリスはテス役のジュリア・ロバーツをみつけてジュリア・ロバーツと勘違いするのだが、実際は勘違いではないところが捻ってある。ジュリア・ロバーツが演じるテスは映画内でジュリア・ロバーツを演じることになり、その構造自体が笑いを誘ってくる。

 多分、面白さを半減させているとしたら、それはオーシャンズ12の存在意義が脅かされているからだろう。『オーシャンズ11』では強盗を目的に、各地からプロフェッショナルが結集したのだった。そこでは誰もが自分の持ち場で能力を生かし、計画を進め目的達成のために汗をかきながら最善を尽くしていた。だから『オーシャンズ12』の前半で、世間で自分たちが「オーシャンズ11」と呼ばれていることにメンバーは異議を唱えるのである。

 ところが『オーシャンズ12』では12人の個性が生かされていない。正直に言えば、今回の強盗作戦は、3人いれば済んでしまいそうなくらいこじんまりとしたものなのだ。したがって強盗というミッションにおける派手さや驚きは、前作と比べると若干薄い気がする。

 しかし、この12人はなんてダメな人たちなのだろう。莫大な金を手に入れた天才詐欺師はホテル経営をしてみたはいいもののうまくいってる兆しはない。元ディーラーは豪遊三昧、双子は用途不明、若手の有望株は後進を育成してみてたところで失敗ばかり。そしてなにより、盗みの快感に溺れ、いまだに強盗を夢みて日々を過ごすダニー。テスに泥棒癖が抜けないことを指摘されてもやめることができない。刺激が足りていないのだ。

 ベネディクトに脅されたとはいえ、すんなり強盗計画をたて始めるダニーたちに疑問を感じると書いたが、どうやらそれは間違いだったようだ。プロットが強引なのではない、彼らが強盗を望んでいるのだ。テスはこれまでのことを怒りダニーを引っ叩いても、彼が謝罪してキスをすればいいムードになる。ダメなのはテスも同じである。彼/彼女らはまた懲りずに泥棒稼業に戻るだろう。そしてダメな彼らは再びウィットに飛んだ笑いとドキドキをお届けしてくれる、愛すべき盗人たちなのだ。

 

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